岡田准一の存在感「関ヶ原」
---石田三成の義を貫いた生き様
2017年製作/日本
配給:東宝、アスミック・エース
監督:原田眞人
出演:岡田准一、役所広司、有村架純
司馬遼太郎の名作小説を、岡田准一、役所広司、有村架純ら豪華キャスト共演で映画化。
石田三成の義を貫いた生き様を軸に、関ヶ原の戦いを真っ向から描き出した。
幼くして豊臣秀吉に才能を認められ、取りたてられた石田三成。
彼は、秀吉に忠誠を誓いながらも、正義ではなく利害で天下を治める姿勢に疑問も抱いていた。
そんな三成の下には、猛将として名高い島左近や伊賀の忍びの初芽らが仕えるようになる。
秀吉の体調が思わしくないなか、天下取りの野望を抱く徳川家康は、言葉巧みに武将たちを自陣に引き込んでいくのだ。
そして1598年8月、秀吉が逝去。
1600年9月15日、毛利輝元を総大将に立てた三成の西軍と、家康率いる東軍が関ヶ原で天下分け目の決戦に挑むこととなる。
主演の岡田が不器用で人間味あふれる新たな三成像に挑み、役所が天下取りの野望に燃える家康役を演じる。
原田監督の解釈が加わって、武将たちが新しいイメージをまとって登場している。
石田三成は「正義を信じ、愛を貫く純粋すぎる武将」。対する徳川家康は「野望に燃え、天下取りをもくろむ武将」。
そして、通説では裏切り者とされる小早川秀秋は「義を貫こうとする武将」として描き出されている。
名前ばかりに親しんだ歴史上の人物が、この映画を観た後には一人の血の通った人間に変わること請け合いだ。
「権力」という巨大な力に翻弄されながら、自らの信念の下に奔走する登場人物の姿は、我々に時代を超えて活力を与えてくれる。
単純な「正義」、「悪」という枠ではくくれない武将たちの生き様が蘇るだろう。
見逃した人には激しくおススメ。