根底には激化する収入格差社会---韓国"至尊派事件"の震撼 | ブロッコリーな日々

ブロッコリーな日々

アイドルマート下花店店長の落書き

根底には激化する収入格差社会

---韓国"至尊派事件"の震撼

アウトロー 哀しき復讐

劇場公開日 

現実の凶悪事件がモデルになった作品だが、背景にあるのは韓国の収入格差である。

わが国においても起こりうる事件だ。決して対岸の火事ではないと思う。

 

「王の男」のカム・ウソン主演で、妻子を奪われた警察官が、法では裁かれない犯人に復讐する姿を描いたバイオレンススリラー。

若い女性を拉致しては監禁、レイプ、殺人を繰り返す「犯罪者集団」につかまり、果てしない暴行を受けたジヒョンは、隙を見て逃げ出し、

刑事オ・ジュンスに助けられる。

 

その出会いをきっかけにひかれあった2人はやがて結婚し、幸せな家庭を築く。

しかし、忌わしい記憶も過去になりつつあったある日、ジヒョンは強盗事件に巻き込まれ、愛娘とともに殺されてしまう。

 

犯人は逮捕されるが証拠不十分で釈放され、そのことを知ったオ・ジュンスは、妻と娘の復讐を誓う--

 

では、血も凍る現実の事件「韓国"至尊派事件"」を振り返ってみよう。

これが映画よりも何十倍もエグイのだ。気合いを入れて読んで欲しい。

 

至尊派とは1993年に結成された殺人組織の名前である。

首謀者の「キム・ギファン」が学校の後輩や刑務所仲間を集めて結成した集団だ。

 

7人いたメンバーはいずれも貧しい家の生まれで、「金持ちを憎悪し、金持ちの殺害を正当化」し、実際に殺人を実行に移すのだ。

1993年から1994年にかけて、彼ら至尊派は、裕福な5人の市民をただ裕福という理由だけで次々に殺害する。

 

彼らは、大学に進学できないのは、一部の金持ちのせいだと思い、富裕層に復讐しようと殺害計画を練る。

途中でリーダーのキムが別の強姦事件で逮捕されるのだが、キムは刑務所の中から残りのメンバーに殺害指示を出していく。

しかし、組織に利用されていた女性が警察に通報する機会を見つけ、彼らの犯罪が明るみに出た。

実行犯6人のうち5人に死刑が言い渡され、1995年に絞首刑が執行された。

 

店長の私は、ドストエフスキーの「罪と罰」を思い出した。

主人公のラスコーリニコフは、1ツの悪行は100個の善行によって贖える、という偏った考えの持ち主であった。

それもこれも、あの近所に住む強欲な金貸しの婆さんのせいだと、この老婆を押し入って殺害に及ぶのだ。

韓国の至尊派事件も同じ動機からであった。

 

日本にも収入格差が広がっているのだ。

非正規雇用者の平均年収は、200万円にも満たないという。

 

そして、全雇用者、つまり全サラリーマンの約4割を超える。

もう対岸の火事ではない。

 

見逃した人には激しくおススメ。。