清純派アイドルに残したトラウマ
---「岡田奈々」自宅監禁・傷害事件
岡田奈々、事件当時18歳。
現在、還暦前後の世代では、岡田奈々は、当時にあっては神アイドルであった。
覚えている方は多いに違いない。
人形のような顔立ちとスレンダーな肢体は、まさに「天使」のような輝きを放っていた。
岡田奈々は、まだ18歳になったばかりだった。清楚で純真な妹系のアイドルとしてデビュー即人気沸騰するのだ。
また、ポッキーのイメージガールなどのCMにも多数起用された。
その岡田奈々が暴漢に襲われる。1977年7月15日未明、港区の高級マンションにあった彼女の自宅にストーカーが侵入する。
この日は、夜11時に帰宅、夏だったこともあり、ベランダの窓を開けたままベッドに寝転がり、迂闊にも寝入ってしまった。
深夜1時すぎ、「騒ぐな!静かにしろ!」という声に、驚いて彼女は目を覚ました。喉元にナイフが突き付けられていた。
思わずナイフを払いのけようと防御するのだが、その際に右手親指と左手を負傷する。そして、彼女の血が一面に飛び散ったのだ。
侵入したファンだという男は、彼女の両手両足を縛り、さらにさるぐつわをかませた。そうやった後に止血を始めたという。
ほとんどの取材陣やファンの関心は、岡田奈々は「乱暴されてしまったのかどうか」という一点であった。
それでなくても妹系のアイドルだったのだ。事務所社長は、事件発覚後に「乱暴」はなかった、と言明した。
だが取材合戦はヒートアップし、マスコミ報道は、同時期の田中角栄・ロッキード裁判を凌駕するありさまであった。
本当に両手の負傷だけだったのか、という詮索や憶測が飛び交ったのだ。
岡田奈々は記者会見を行う。「乱暴された事実はありません」
しかし、一部の週刊誌は「真相究明」をなおも続けたのだ。
結局、犯人は発見されず、事件は時効を迎えた。
今もって謎のままである。。
岡田奈々はその後元気に復帰し、ドラマ「スクール・ウオーズ」を好演した。
だが、浮いた話はなく、まるでこの事件が尾を引いているかのようであった。


