救いの無い傑作漫画---「ありがとう」の残虐性 | ブロッコリーな日々

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アイドルマート下花店店長の落書き

救いの無い傑作漫画

---「ありがとう」の残虐性

1994年からビッグコミックスピリッツに連載

この作品「ありがとう」は、

平凡な家庭が地元の暴走族に占拠され、一家の娘が凌辱を受け続けるという衝撃的な作品だ。

 

ちょうどそこに単身赴任から父親が帰ってくる。

そして、この父親は、不良たちに戦いを挑んでいくのだ。

 

本作のモチーフは、1988年東京・足立区で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」である。

まだ覚えている方も多いことだろう。被害者は1ヶ月近く監禁され集団リンチを受け続けたあげく、身も心もずたずたに破壊され、衰弱死する。

 

女子高生は、意識がある間は地獄だったと想像される。

何度もレイプされ、陰部に建築現場から盗んできた鉄筋やガラス瓶を差し込まれた。

さらにレイプに飽きてくると、身体をライターで焼かれたそうだ。

 

想像できるだろうか。また、警察の初動捜査が遅れ、誰も助けることはできなかった。

作品では、勇敢な父親が登場するのだが、現実の事件では、両親とも見て見ぬふりをしたのだ。

 

この事件は、戦後最大の少年犯罪とされた。

しかも未成年ゆえに少年院に送致され、数年後に退所している。

 

この事件以外にも、愛知県西尾市で起きた「いじめ自殺事件」など、

90年代前半の社会問題がミックスされた救いの無い傑作になっている。