魂を揺さぶる北条民雄の名作---「いのちの初夜」を読み返す | ブロッコリーな日々

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アイドルマート下花店店長の落書き

北条民雄の名作

「いのちの初夜」を読み返す

現在では治療方法が確立されたハンセン病(癩病)だが、昭和初期では不治の病とされ、患者は一般社会から隔離されて専門の施設に隔離された。

 

癩病と診断されることが、即ち生きながらの死亡宣告のような意味を持っていたのだ。

自身も癩病患者であった作者の体験的な作品「いのちの初夜」は、癩病院への入所(隔離)という絶望の中から不死鳥のような命の叫びを感じさせてくれる。

昭和11年、雑誌「文学界」12月号に発表された「いのちの初夜」は、当時大反響を呼んだ。

やがて、文学界賞を受賞するに至る。

 

この『ハンセン病』だが、発症していないのにも関わらず、強制的に親から引き離され、隔離された被害者は大勢いたそうだ。

 

店長は、岡山県内の今は記念館になっている元・隔離所に工事の打ち合わせで訪問したことがある。

そこには、短い橋を渡って入るのだ。当時は船で収容されたらしい。波が早く、泳いで逃げ出すことは不可能だ。

 

館内にさまざまな展示がされている。また、ビデオ鑑賞ができる。

14歳ぐらいの収容者が見事な短歌を詠んでいる。

館外に小さな墓地があった。いったん隔離されたら死んでも家に帰してもらえなかった。

 

国が過失を認め、謝罪したのは、10数年前のことである。

菅直人厚生大臣(当時)が正式に謝罪した。

 

「いのちの初夜」は、このような背景がある都下の隔離所が舞台だ。

ぜひ一度は読んで下さい。病んだ心が癒されます。。