松本清張の代表作「砂の器」
"リメイク"の度に設定が変わる?
「砂の器」は、ドラマで何度もリメイクされた清張原作の人気小説だ。
だが、本作には、深刻な問題を抱えていた。
それは、戦前では、死の伝染病とされた"ハンセン氏病"だ。
日本政府が隔離政策をとっていたため、社会には誤解が蔓延することになる。
例えば、2004年に中居正広が演じて19.6%の視聴率をたたき出したTBSドラマだが、
なんと秘密の部分は、「津山31人殺し」に設定が変更された。
これで、果たして「砂の器」と云えるのだろうか。これは視聴者への裏切りではあるまいか。
原作者の松本清張にも"失礼"ではないか。
そして、2011年、玉木宏主演のテレビ朝日になると、これは「原作レイプ」と呼ぶにふさわしい。
その秘密の部分は、冤罪による差別からの逃亡という設定に変わってしまった。
原作のハンセン病からの村からの逃散という宿命と比べると、なんと薄っぺらな設定だろうか。
医療団体からのクレームを避けたい製作関係者の思いは分かる。
それなら、「砂の器」のリメイクは避けるべきだと思うのだ。
少なくとも、違うドラマ名にして欲しい。