「麻原彰晃」---彼が犯罪組織を志向した理由
もはや麻原彰晃(本名:松本智津夫)が処刑された今、真相は明確ではない。
収監中に接見を続けた弁護士によれば、麻原彰晃は坂本弁護士一家の殺害を幹部に命じたそうである。
だが、麻原彰晃には悪事を働いたという意識はなかった。それは、彼がパンドラの箱を開けていたからだ。
そのパンドラの箱とは、密教の教義に隠されていた危険な"殺人肯定思想"なのだ。
最澄も空海もその過激思想を覆い隠して日本に持ち帰った。
この先達は、『日本人にはそぐわない思想である』と、結論したのだ。
それが「バジリヤーナ」とオウム真理教が呼ぶ危険な思想だ。幹部は『ポアする』と、云って脱会を望む信者を殺害した。幹部たちは、秀才ぞろいであったので、世間に与えた衝撃は軽くはなかった。
麻原彰晃がどうして、危険な思想にのめり込んだのか。
彼の無き今となっては、すべて空しいのだが、店長の私が考証してみる。
簡単だ。答えはすぐに見つかる。それは、麻原彰晃(松本智津夫)の生い立ちが教えてくれる。
智津夫少年は、決して裕福とは云えない畳職人を父親にもつ家庭に生まれた。
しかも、不運にも彼は生まれつき弱視であった。
ただし、盲目ではない。視力が弱いだけだ。
それでも両親は彼を無理に盲学校に入れる。経済的な理由からだ。
そのことは、智津夫少年を絶望の淵に立たせることになる。彼は打ちのめされるほどの"劣等感"を抱くのである。
この劣等感ほど始末の悪いものはない。ここに至って、智津夫少年は"権力"を志向した。だから勉強も真面目に行ったのだ。
智津夫青年が容姿端麗であったなら、オウム真理教は生まれなかった。権力を手にする必要がないからである。
彼が好んで髪の毛を長く伸ばしているのは、容姿にも劣等感があることを示している。
自分の身長が低いことに劣等感を抱いている人は、誰にも負けたくないので過剰に頑張る。それと同じ心理だ。
「オウム神仙の会」を立ち上げるより前に、松本智津夫は桐山密教を勉強したそうだ。特に、能力開発に興味を示したらしい。これも彼の劣等感が巨大だったことを計らずも示している。
マントラ(真言)を10万回唱えると超人的な能力を得ることができる、という。これは桐山密教から学んだのだ。
彼が得たものはそれだけではなかった。彼は危険思想を見つけてしまった。
おそらく、智津夫青年は狂喜乱舞したことだろう。
店長の私は、先達が封印した危険思想を見つけたいとは思わない。
よもや後世の日本人が実践するなどと誰が予見できただろうか。。。