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eaglestarのブログ

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 高知旅行から帰って数日後、私は風邪をひいていた。馴らし保育に通う我が子からもらった風邪。馬鹿は風邪ひかないとよく言われるが、私はもともとよく風邪をひく。だから私は馬鹿ではないと言いたいところだが、夏風邪ひく奴は馬鹿とも言う。やはり馬鹿なのかもしれない。こんな虚弱な私を見て彼女は再び「かわいいですね」 と言う。いかつい風貌からそんな虚弱な体質は想像できない、そんなギャップに彼女は胸がキュンとなると言うのだ。女性の心理は全く持ってよく理解できない。ただ、好いていてくれるのは事実なようで、そう言ってくれることに悪い気はしなかった。

 彼女を高知に連れて行ってからというもの、私の懐事情は寂しいものになっていた。出張中からの蓄えはその旅行で底をつき、それまで昼休みにはよく彼女を連れて食事に出かけていたものだが、さすがに連日の奢りは難しかった。そのため私は昼食は一人でとるか、友人ととるかのどちらかが多くなった。加えて仕事においても、朝から一日中現場仕事の日が増えたため、職場で顔を見合す機会が以前より少なくなった。私と食事に行かない日の彼女は相変わらず何も食べない。飲み物だけという日もざらだ。そんな日は、彼女は午前中の仕事が終わるとそそくさと屋上に上がって、展望室の椅子に座って飲み物片手に時間を過ごしていた。私は自分の食事が済むと、しばしば彼女のいる屋上へと上がり、彼女の横に座ってまったりと時間を過ごした。

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 その屋上には別の社員も何人かいた。女性ばかりだが顔ぶれはいつも同じ人のようだ。当初、私は彼女の隣りに座る度に肩こりや眠気を訴えていた。彼女はそんな私に肩揉みを施してくれた。頼んだわけでもないのだが、彼女から手を差し伸べてくる。向こうに座っている女性社員達の目も気にしないかのようにだ。また、肩を揉みながら彼女は時折私に抱きつくような素振りも見せた。そして耳元でこう囁く。

「もう・・・抱きしめたいてしまいたいですよ・・・キスしちゃいますよ??」

 本気なのか冗談なのかよくわからなかったが、冗談でも「いいよ?」と言ってしまうと本当に実行しそうな勢いも感じられ、さすがにそれは静止した。
 そんな肩揉みも私が屋上へ上がる度に常習化していったため、私はいつか彼女にこう伝えてみた。

「なんだか肩揉んでもらうために上がってきてるような気がするなあ。申し訳ないよ~。」

すると彼女はこう答える。

「いいんです。こうやってあなたに触れていられることが嬉しいんですから。」

 そんな事を言う彼女がいじらしくて仕方なかった。
 
 そうやって触れ合った後、休憩時間も終わりに近づくと我々の事務所に戻るために二人で一緒にエレベーターに乗り込む。そしてエレベーターの中で二人きりになったところで束の間のキスをしたものだった。その後事務所のある階に到着すると二手に分かれて別々に入室し、何事もなかったようにそれぞれの席に座る、といったことがお決まりのパターンだった。

 また、休憩時間以外にも、二人は皆に隠れて接触する機会もあった。「隠れて」というよりも「見えない所で」が妥当かもしれない。私の隣のデスクは空席で、時折彼女はその席に座り、私の向かいに座っている同僚を交えて3人で会話することが多々あった。私の後ろはロッカーなので、向かいの同僚と話をしながらその目を盗んで机の下でこっそり手をつないだり、あるいは彼女の膝をくすぐったりしたこともあった。

 
 仕事の合間の束の間の愉しみ。そんな小さな体の触れ合いをする度に、私はそれ以上の接触を欲することになる。彼女とて、同じことだったはず。高知旅行以後、仕事の都合や私の家の事情で、彼女と食事を共にしたり家に送り届ける機会は減ってしまったことも重なり、その欲求は日々激しさを増すようになった。そして、仕事が終わって彼女を家まで送る余裕ができた日、二人は車の中でその気持ちを激しく交換し合った。そして、ついに私は車中で初めて彼女の中で果てたのだった。私のワイシャツの一部が赤く染まってしまうほど、その交わりは激しいものだった。

 時は梅雨も明けた7月の下旬。次に訪れる二人の行事は恒例の夏の職場の飲み会。二人の関係を築くきっかけともなった職場の飲み会の後で、再び二人は情事を重ねることになる・・・・

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 チェックアウト1時間前くらいになって彼女は自分の部屋に戻った。私は早々に身支度を済ませて彼女の部屋にお邪魔させてもらう。彼女は相変わらず入念にお化粧をしている。私はそんな彼女の姿を興味深げに後ろから鏡越しに覗いていると、

「もう!あまり見ないでください!」

と言われてしまう。
 その時、女性とはこんなにもお洒落に気を使うものなんだ、と思った。彼女は特に化粧が濃いというわけではない。しかしながら念入りに、丹念に自分を磨いてより綺麗に見せたいという気持ちが見て取れる。そこで私は妻と彼女を比較してしまう。私の妻はほとんど化粧をしない。ついでに大したお洒落もしない。化粧はしたとしても、ものの5分程で終わってしまう。自分を磨こうという気持ちが全く見られないのだ。だからより、そんな彼女を見て私は改めて彼女に魅了されていることに気付いた。しかし、すぐにその比較するという考えをやめた。妻と彼女を比較することで、また何かのはずみで家族の話が出てしまう可能性があったからだ。頭の中に浮かんで来た妻の顔を振り消し、念入りに化粧をしている彼女の姿をずっとそれからもずっと眺めていた。

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 チェックアウトをすませてホテルを出ると、我々はひとまず高知市内の中心部に向かった。日曜日の高知市中心部では、一部の道路が歩行者天国となっており、たくさんの露店が軒を連ねていた。それを横目に我々は商店街へと足を進めてマクドナルドで遅い朝食をとることにした。
 朝食後、兼ねてから二人で食べようと約束していたスイーツの店を探す。しかしながら東京や京都とは異なりなかなかそれなりのお店を見つけることができなかった。ただただ歩き回るだけで時間だけが過ぎていってしまった。今日は諦めようか、と思ったところで目の前にフルーツジュースの店を発見する。我々は歩き回って喉も渇いていたことだし、その店で妥協することにした。が、案外美味しかった。結局は満足できた。
 喉を潤すことができた我々はお土産を買うために、「ひろめ市場」とへ向かった。私はちょくちょく高知を訪れることがあって、毎回ここでお土産を買って帰っている。そこで昨日も食べたカツオのタタキを購入する。家でも食べようと思ったからだ。ただ、この時昨日の記憶がよみがえった。こうやって土産を購入する時でさえも、彼女が私の家族を気にしやしないだろうか、と不安になる。彼女の顔色を窺いながら買い物を進めた。だが特にこの時は不安そうな表情を浮かべることはなかった。
 そうこうしていたら昼前になった。昨日の元同僚の話によると、彼は昼になったら市内に出かけるとのことだった。こんな我々の姿を彼に見つかってはえらいことになる。彼には朝早くに帰路に就いていることになっているのだ。ましてや手を繋いで歩いている所など目撃されてしまうと言い訳のしようもなくなってしまう。結局このまま帰路に就くことにした。地元に帰る頃にはいい時間になっているということもある。私自身、どうしても家のことが気になるということもあった。彼女もそれを理解してくれた。

 帰りのルートは瀬戸大橋を通ることにした。行きのフェリーとはまた異なる壮大な瀬戸内海の景色を橋の上から彼女に見せてあげたかった。しかしながら、途中から雲行きが怪しくなったと思ったら夕立のような土砂降りの雨が降り出した。結局綺麗にな景色はお預けとなった。

 どれほどの時間激しい雨が続いただろう、その雨は地元に戻った頃にようやく小雨へと変わっていった。雲の切れ間からは微かに日差しが顔を出し、再び蒸し蒸しとした暑さを車の中でも感じるようになった。
 我々は終始車の中では相変わらず手を握り合っていた。さすがに高速走行中は危険なのでその時意外は。高速を降りるとお互い待ってましたというように再び手を取り合う。
 
 東京や京都で会った時とは違い、今回は最後まで彼女を送り届けることができる。「今迄で一番長い時間一緒に居られましたね」と彼女はいう。確かに、地元を出発してからこの時までの時間を考えてみると一番長い。そのためか、彼女の家に近づいた頃には、お互い離れ辛いことこの上ない状態だった。私は時間の許す限り、彼女ともう少し一緒に過ごすこととし、近くのスーパーの屋上に車を停めた。

 日差しが出かけていた空は再び雲が覆うようになっていた。とはいえ、時刻は夕方前。あたりはまだまだ明るい。駐車場の車の中で、二人はいつしか周りを気にしながら別れを惜しむように唇を重ねあうようになっていた。
 キスをしてしまうと、やはりどうしても興奮してしまう。女性のキスに対する思いは決して性的な意味合いだけを持つものではないと思うが、私の場合はそれを性的な接触として捉えてしまう。特に舌を絡ませあうということになると相手もその気だと思ってしまう。結局私の手はそのまま彼女の下半身へと移動してしまうことになる。彼女は周りを気にして、少しばかり抵抗したような様子も見せたが私を受け入れた。ただ、「もう・・・」とだけ言って。
 こうやっていつものように彼女を愛撫するのだが、この日、私は無性に自分を慰めてもらいたいと思った。彼女から自発的にそうなることが理想なのだが、思い切って彼女に伝えてみることにした。外はまだ明るいし、当然断られることはわかっていた。しかし、彼女がどんな反応をするのか見てみたいというのもあった。

「してほしいよ・・・」
「え!?う~ん・・・だって・・・外がこんなに明るいんですよ?」
「じゃあ、暗かったらいいの?」
「う~ん・・・できないわけじゃ・・・ないですけど・・・でも、ねえ・・・」

やはり予想通りの反応だった。実際することになったとしても、私も周りを気にしてそれどころではなかっただろう。反応が見れただけでも収穫だと思った。ただ、彼女はこんなことを言ってくれた。

「これなら、できますよ?」

そう言って彼女は私の手をとった。そして、私の指にキスしたかと思うとおもむろにそれを咥え始めた。彼女の口の中に私の指が包まれる。その感触は言葉にできないほどの快感であり、指が彼女の舌に触れる度に私の皮膚に鳥肌が立った。もう、それだけで十分満足だった。

 そうやって車の中で抱擁していた時、私はふと外に目やった。すると、目の先にあったものにドキリとした。が、瞬時に心配のいらないものであったことがわかりホッとする。
「どうしました??」
「いやあ、一瞬向こうに停まっている車が嫁の車に見えたんだよ・・・。大丈夫。違うみたい。」
「そう・・・ですか・・・」

 私はまた心の中で、「しまった・・・」と思った。不意に出てきた言葉で車内は一瞬静まり帰った。彼女に再び私の家庭を思い出させてしまったのだ。

「そろそろ、時間も時間だし、帰ったほうがいいんじゃないですか?」

 その声は特に沈んだものではなかったが、彼女の心境がわかるだけに胸が痛んだ。
 時計を見ると、確かに帰るべき時間。まだまだ名残惜しかったが、けじめをつけて車を出すことにした。

 彼女の家の前に辿り着くと、いつものように彼女は私の腕に手を置いて名残惜しそうな表情を見せる。

「またこうやって旅行できる機会って、ありますよね?」
「うん!また機会つくるよ。必ず!」
「はい!楽しみにしてます!ありがとうございました!」

そう言って彼女と別れて私も帰路に就いた。


 ハンドルを握るその手の指先は、彼女が咥えた感触がしばらく消えることはなかった。
 彼が予約してくれた店は、これまたすばらしい店だった。注文したカツオのタタキは絶品。夏に食べるカツオのタタキは実にうまかった。また、それに加えて今迄食べたことのない塩で食べるタタキも出てきて、彼のおもてなしの手際のよさに改めて関心するとともに、そこでも軽い嫉妬を覚えた。日頃食の細い彼女も、その日は驚くほど食べ物を口に運んでいた。
 
 
 酒も幾分進み、話が盛り上がっていた頃、何やら掘りごたつのテーブルの下から私の足に衝撃が走る。ん?と思ってふと下を除くと、私の向かいに座っていた彼女の足が私の足を小突いていたのだった。彼に気付かれないように彼女と目をチラリと合わすと、何やら彼女の顔はすねている。その原因はよくわからなかったが、私も仕返しとばかりに、彼と話をしているテーブルの下で彼女との足の小突き合いが始まった。やがてそれは小突きあいから絡ませあいに変っていった。手をつなげないぶん、せめて足でも・・・というところだろうか。そんな水面下の絡み合いなど彼は知る由も無く、我々はただただ何気ない会話を交わすのであった。
 
うまい物を一通り食べた後、その店を出て次の店で飲みなおそうということになった。
 次の店に向かう途中、ほろ酔い気分の彼女は再びわけのわからない行動を見せる。彼女はチラリと私の方を見たかと思うと、何を思ったか、おもむろに彼と腕を組んだのだ。まるで私に「どう?」といわんばかりの表情で・・・。私は彼女が何を考えてるのかわからなかった。ましてやその腕を離せ!なんてことも言えるはずもない。彼の前では彼女との関係はただの同僚なのだ。ただただそれを見て、「何やってんだよ・・・酔っ払いが!」と、引き攣ったような笑顔で言う以外に言葉は出なかった。
 次に入ったところは豚肉を専門に扱う店だった。すでに前の店でたらふく食べていたのだが、そのうまさについつい箸が進んだ。しかしながら私は酒が入っているせいか満腹中枢が麻痺している。ついでに数種類の酒を飲んでいたせいか、次第に頭がぐるぐる回り始めていた。
 

 そして、約束の終了時間の9時になった。

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 我々は店を出て、彼に今日一日の最高のおもてなしに心から感謝した。通常ならまだまだ飲み歩いて語り合いたいところだが、明日のこともあるし・・・と、早い時間にホテルに戻ることを彼女と二人で彼に何度も詫びた。心の中でも「ホント、すまん」と何度も手を合わせた。さすがに申し訳ないと思った。しかしどうしても譲れないものがある。彼はキサクに、いいよいいよ、また自分もそっちに顔出すから、と言って私と硬い握手と抱擁を交わして彼と別れた。彼と飲んだ後は必ず抱擁し合うことにしている。彼女はそれを見て、いいな~、男の人は・・・と羨ましがった。

 再び二人きりになった我々はホテルの方向へ歩き始めた。珍しく彼女は酔っているようだった。私はといえば、それ以上に酔っていた。なんだか彼女より酔っていることが悔しかった。しかし、彼女の様子は一軒目の店を出る時と同じように、相変わらずおかしかった。

「ねえ、さっきからどうしたの?様子がおかしいよ?」
「ふん!」

さして本気で怒っているようでもないが、彼女はこう続けた。

「もう・・・楽しそうに家族の話してたでしょ!」

 それを聞いて私は、「あ・・・」と思った。車の中で時折見せた彼女の寂し気な表情や、掘りごたつの下で小突きあい、彼と腕を組みながら見せた彼女の表情。全てはそれが原因だったのだ。
 話の中で出てきた話題だとは言え、あまりにも迂闊だった。久々に会った彼との間で交わした会話だったが、私はついつい調子に乗ってしまっていたようだ。彼女のその言葉を聞いて、何も言い返すことができなかった。ただ、「ご、ごめん・・・」としか言いようがなかった。

「幸せそうな会話だったから、結構辛かったんですよ?でも、しょうがないですもんね・・・」

そう言いながら彼女は今迄押し殺していた感情を噴出すように私に抱きついてきた。そんな彼女を私は強く抱きしめた。なんとかそんな嫌な気持ちをそうしてあげることで早く消し去ってやりたかった。
 道中、暗い路地で時折彼女は歩きながら私にキスを迫った。人目もはばからず、私もそれに精一杯応えた。お互いの気持ちを確認しあうかのような、深く、激しいキスだった。

 途中、コンビニに寄ってデザートと飲み物を買ってホテルに戻った。後でまた一緒に食べようと言い、それぞれの部屋に入った。

 私は部屋に入るとすぐさま汗を流すためにシャワーを浴びた。それを終えると私はベッドに寝転んだ。すると、突然激しい眠気と酔いが私を襲ってきた。やはり飲みすぎたようだ・・・。注意はしていたものの、ついついうまい食べ物と楽しい酒の席、ついつい後のことを考えずにやらかしてしまった。私の場合、そこから回復するには充分な睡眠以外手立てがないのである。しかしそれでは、せっかく彼女と夜を過ごすために友人に嘘までついた二人の計画が水の泡となってしまう。私はすぐさま彼女に「はやくこっちおいで~」とメールを送った。
 しかしながら女の子にはいろいろと準備があるようだ。連絡をしてからどれくらい経過しただろう。私はベッドの上で眠ってしまった。気がついたのは、彼女から「準備できたからそろそろ行きますね?」 というメールが入った時だった。目覚めると激しい頭痛が私を襲っていた。

 彼女が私の部屋に入ると、まず二人で買ってきたデザートを食べた。私はその激しい頭痛のため食べきれず、残りを冷蔵庫へ戻した。彼女にはそんな弱った私を見せたくはなかったので、必死に平静を装っていた。
 
 彼女はその日もノーメイクで現れてくれた。またそれが嬉しかった。更に嬉しかったのは彼女がパジャマ姿だったことだ。デザートタイムを終え、会話も中途半端に、私は本能のまま、そんな彼女をベッドへ横に寝かせた。そして京都で会って以来、久々にきれいなシーツの上での愛情の確かめ合いが始まった。

 一応、酔っ払ってすこぶる気分が悪かったとはいえ、私の下半身は正常に機能していた。ただ、いつもと違うのは彼女を愛撫する私の指がなかなか動かないこと・・・。指を激しく動かそうとする度に、私の頭の血管が悲鳴を上げた。前戯も中途半端に、私は冷や汗をかきながら彼女の上に覆いかぶさった。特に何度も体位を変えるでもなく、私は本能の赴くままに腰を動かし、最後は彼女が上になったところで、私は彼女の中で果てた。
 そして・・・その直後。果てたと同時に私の頭の血が全て下に降りて来たかのような気がした。一瞬にして私の顔は蒼白になった。貧血にも似た症状に加え、それまで続いていた頭痛がより一層激しさを増し、私はそれ以降ほとんど身動きができない状況になった。彼女もそこで私の異変に気付いたようだ。

「どうしたんですか??大丈夫ですか??」
「ううう・・・頭痛い・・・飲みすぎた・・・」

実に格好悪かった。普通そこまで体調悪いなら無理しないのが当たり前だろう。欲望の赴くまま行動してしまった罰だった。さぞや彼女は呆れることだろうと思った。

 しかし、彼女は呆れるどころか、そんな私を心から心配してくれた。冷や汗をかきながら唸っている私を、彼女は私が深い眠りにつくまで看病してくれたのだ。時にタオルで汗を拭い、痛む頭のこめかみを優しく夜中中マッサージしてくれたのだった。薄れ行く意識の中で、そんな彼女の優しさだけはしっかり記憶していた。なんて自分は馬鹿な男だろう・・・。彼女の献身的な優しさを感じながら、激しく自分を罵った。

 私は明け方近くになって目が覚めた。隣りにはかわいい寝息を立てる彼女がいる。気付けばすっかり頭痛は消えていた。彼女のお陰だった。また、私はちゃんと服を身に着けていた。起きてすぐの時、彼女が着せてくれたのかと思ったが、思えばあの苦しみの中、途中でのっそり体を起こしてなんとか服だけは自分の力で身にまとったことを思い出した。彼女自身もパジャマを身に着けていた。
 私は喉の渇きを感じて、彼女を起こさぬよう、静かに枕元のペットボトルのお茶に手を差し伸べた時、彼女もふと目を覚ましてしまった。

「あ・・・もう、大丈夫ですか?」
「ごめん、起こしちゃった?昨夜は迷惑かけてごめんね?」
「うふふ、なんだか、可愛かったですよ?でも心配しました。」
「情けないところ見せちゃったなあ。でも、ホント、ありがとね?」

 そう言って私はお茶を口にした。

「私も喉渇きました。」
「よっしゃ!」

 私はもう一度お茶を口に含むと、それを彼女の口元まで運んだ。そして、何かにとりつかれたようにお互い激しく唇を交わした。
 
 昨夜の中途半端な愛情の確認を、今度は一時も無駄にしまいと、二人は再び朝から時間が許す限り激しく体を交わらせた。今度は私の指にも力が入った。そして、その朝私は結局二度彼女の中で果てた。

 
 その日も高知は晴れていた。もう一日、二人の過ごせる時間が与えられている。昨夜は元同僚のおもてなし。今日は私が彼女をおもてなしする日。その日の計画は相変わらず未定だったが、行き当たりばったりの予定の方が、自分達にはやはり合っているかもしれない。そんな話をベッドの中でしながら、二人は迫り来るチャックアウトの時間を気にしながらぎりぎりまで抱擁し合った。