途中、我々は遅い昼食をとることにして、ヒルズ地下にあるラーメン屋に立ち寄った。もっとお洒落なところがいいかなとも思ったが、あまりにも店が多すぎて決めかねていたために、最終的に一般的な食べ物にすることに落ち着いた。そこでも私はなかなか腹に入らなかった。いつもはペロリとたいらげてしまうようなものでも、そのときは困難だった。まだまだ彼女と一緒にいることのどきどきが治まっていなかったからだ。お腹いっぱい状態ならぬ胸いっぱい状態である。彼女はもともと食が細いため、半分くらい食べたところで箸が動かなくなっていた。それを気遣って、無理に全部食べないでいいよと声をかける。
次は、お待ちかねの珍スイーツ。ヒルズ近くの豆腐アイスが食べられる店に入る。彼女はもともと珍しいもの好きで、たこやきにグミやオレオを入れて食べるなど、日夜新しい味を追求しているという。私はそういうことに若干恐れをなしていたので、私はミックスジュースを注文する。彼女はパフェを注文。
「おいしいので食べてみてください!!」
「え!!??」
渋る私に痺れを切らせたのか、彼女は自分のスプーンを私の口の前に持ってくる。一瞬戸惑ったが私はそれを口に入れた。おいしいではないか・・・。いや、ただ味がおいしいのではない。その彼女の行為が私にとってはとてもおいしかった。一瞬の出来事ではあるが、それだけで私のどきどきは再び増してしまっていた。
この時から、私は彼女の気持ちが気になり始めていた。時々言ってくれる「好きです!」の意味を。社交辞令的なものなのか、又は本気のものなのか・・・。本気だったらどうだというのだ?どうするんだ・・・?そして自分はどうなんだ・・・?彼女をどう思ってるんだ・・・?俺には妻子がいる。彼女には彼がいる。じゃあ、今の二人の状態は何だというんだ・・・?この胸のどきどきは普通のものじゃない・・・。
雨足の強くなってきた東京の空を見上げながら、時々私は考え込む瞬間が多くなっていた。相合傘の中で、私は気付けば彼女の肩を抱きたいと考えるようになっていた。もう、まわりの目など、見えなくなっていた。どうしよう、どうしよう・・・傘を持っていない片方の手が、勝手に彼女の肩へ動こうとしていた。私は必死でそれを制止する。
やばい、やばいよ・・・本気で惚れてしまってるよ・・・。