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eaglestarのブログ

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 6月末日。梅雨の中休みといった感じの関東北部の空は綺麗に晴れ渡り、もう真夏の雰囲気さえ漂わせる気候だった。
 その日は3ヶ月にも渡る出張の最後の日だった。午前中で勤務も終わることになっていて、後は地元へ戻るのみだ。
 職場ではその期間中の私の勤務成績が評価され、職場全員の前で表彰もされた。勤務成績トップ3だったからだ。思えばここへ来た当初はその寂しさや虚しさに途方にくれていたものだが、彼女のお陰でその生活は一変したのである。彼女に会えると思えば、それまでに一生懸命仕事に打ち込んだ。彼女に会っているときに仕事の心配をしたくなかったから。そして、毎日独り身の寂しさを癒してくれるメールや電話もあったからだ。表彰されながら彼女のことが頭に浮かんだ。まだもうちょっとここに居てもいいかな、とも思った。この思い出深い職場は、忌々しいものから清々しいものへと変貌を遂げたのだ。この出張先、関東、宿泊所、この3ヶ月みてきたもの全てが彼女とリンクしているのだ。

 ただ、一つ気がかりなことがあった。京都で彼女と会ってからその日まで、彼女の様子がいつもと違っていたのである。元気がない。言葉に覇気がない。彼女とのメールのやりとりからそんな様子が伺いしれた。私が帰ってくるというのにだ。京都での別れ際に見せた、あのなんとも言えない寂しげな目を思い出した。いったいなんだったのだろう・・・。
 

 その原因は私が出張先から帰路に就き、東京駅で帰りの新幹線に乗り込んだときに判明した。




 予約していた座席に乗り込んで事前に購入していた東京駅弁のアナゴ飯を開けた時、彼女から一本のメールが入った。時刻は午後12時。地元の職場は昼休みに突入している時間だ。

「今、電話かけてもいいですか?」

 彼女と東京で会って以来、昼間によく電話で話していたのでそれほど驚きもなかったのだが、今回は最近の彼女の様子がいつもと違っていたこともあり、その内容が気になりながらもメールを返信した。

「いいよ?今新幹線だけど、デッキに移動するから。」

そして、彼女から電話がかかってきた。

「もう、新幹線なんですね。やっと帰ってくるんですね。ホント、お疲れ様でした。」
「うん。ありがとう。お陰様でやっとね。しかもトップ3で表彰されちゃったよ!」
「そうなんですか!?おめでとうございます!よく頑張りましたね。」
「それもこれも全て君のお陰だと思ってるよ。早く帰って会いたいよ。」
「そう・・・ですね・・・。会えますね・・・。」
「どうしたの??なんか、ここ最近元気ないよ?ちゃんとご飯食べてるか?」
「ううん。あんまり食べてないです。」
「そりゃあ駄目だよ。ちゃんと食べないと。俺が帰ったら、ちゃんと食べてるか監視するぞ??」
「そのことなんですが・・・」

彼女は口ごもりながら自分の気持ちを語り始めた。

「あなたが帰ってきて、職場でいつも顔を合わせることはできます。でも・・・それだけのような気がして・・・。今までは独りで生活できてて私だけを見ていてくれたような気がしてました。でも、これからは・・・家に帰ることになって・・・奥さんや娘さんと一緒の生活に戻るわけじゃないですか・・・。それによって、あなたの心情に変化が出てくるんじゃないかと思って・・・。私、それを考えるとすごく辛いんです。」

彼女の話し声は段々と涙声になっていくように聞こえた。彼女の様子がおかしかったのは、そのことだったのだ。京都で別れる時から、彼女はそのことをずっと気にかけていたのだろう。そんな彼女の気持ちを察することのできない自分が歯がゆかった。それと同時に、今彼女が目の前にいれば抱きしめてやりたいという衝動にかられた。

「それは確かにそうだよ。家に帰るわけだからね。でも、それだからと言って君への想いが変わることなんて絶対にあり得ないよ。だって、こんなに君のこと想ってるんだよ?考えられないよ。気持ちが変わるなんて。大丈夫。なんとかなるよ。安心して!」
「・・・。ほんとに、信じていいんですか?」
「うん。好きだよ?」
「はい・・・。ありがとうございます。私も好きです!じゃあ、気をつけて帰ってきてくださいね?」
「うん。わかった。あんまり考えすぎないようにね!」
「はい!」

 電話が終わって私は自分の座席に戻り、弁当を頬張りながらいろいろ物思いにふけってみた。
 
 彼女の思っていること、全く理解できないものではない。確かに私は家に帰ると家族との生活が再開される。出張先では彼女のことばかり考えていたとはいえ、決して家族のことを一切考えなかったわけじゃない。妻は一人で子どもの面倒を見ているわけだし、子どもだって3ヶ月前と比べればかなり成長していることだろう。その姿を見れることも帰る喜びの一つでもある。毎日面倒な晩飯の支度だってする必要もない。当然、これまでとは違って家族のことを考える機会は圧倒的に増えることであろう。ましてや私は子煩悩でもあり、家にいれば家事だって率先してやるような男だ。彼女はそんな私の性格を知っているのだ。彼女の心配も無理はない。
 ただ、それだからと言って彼女に対する想いが変わってしまうなど、まったく予想できないことだ。こんなに惚れてしまっているんだから。彼女と出会った当初は家族の事を考えると思い悩むこともあったが、自分の気持ちに正直になろうと決めたことで、その苦しみもだいぶ落ち着いてきているのだ。私はもともと物事をすっぱりと切り離して考えることができる男だ。彼女は彼女。家庭は家庭。どっちも大切にできるさ・・・。どうにでもなるさ・・・。彼女に会える時間なんて、つくるのは容易いことじゃないか・・・。

 よくよく考えてみると、私がGW中に帰省した時に、彼女の様子が少しおかしかったのはこれと同じことではなかったのだろうかと思った。あの頃から彼女は私の事をそこまで考えていてくれたのではないかと思った。あくまでも自分が判断するには。

 そんなことをずっと考えながら私は懐かしげに窓の外の景色を眺めていた。目に入るもの全てが幸せなものに感じられるほど、私は幸せの絶頂期にいた。思わぬ幸せに出くわしたことに、計り知れない満足感を覚えながら。
 
 東京駅を出て数時間後、新幹線は地元駅に到着した。久々に見る地元の景色は、どこか懐かしい香りがした。しかしながら、相変わらずの景色ではあるけども、3ヶ月前にここを発った時とか明らかに違う、余裕と自信が身についたような、見える景色全てが新鮮なものに変化しているような、そんな気がした。
 
 そして私は家族の待つ家へと帰っていった。

 
 どこから湧いてくるのかわからない、その意味不明な余裕と自信。そんな向こう見ずな、いい加減な私の性格が、これから先に訪れる地獄のような苦しみの世界に自分自身を引きずりこむ原因になろうとは、この幸せ絶頂期の頃には予想するのは不可能なことだった。
 
 ただ、彼女だけは何かが見えていたのかもしれない。


 
 二人の気持ちを何度も確認し合った後、知らず知らずのうちに二人は眠ってしまっていた。当然二人とも生まれたままの状態で。私自身、久々の行為のためか(年齢も?)全身疲れきっていたのだと思う。
 外が若干明るくなってから彼女は自分の部屋へ戻っていった。準備に時間がかかるから・・・と言い残して。私はその後しばらくそのまま眠っていた。そして午前8時を過ぎたくらいに目を覚ました。
 カーテンを開けてみる。京都のその日の朝はどんより曇っていた。窓から見えるほかの建物は湿っているように見えた。小雨ながら雨が降っているようだ。また今回も持ってきた傘が役に立ちそうだ。

 9時を過ぎた頃、私は自分の身支度を済ませて彼女に電話した。そして了解を得てから廊下を挟んで向かい側の彼女の部屋へ入らせてもらった。彼女は例によってお化粧の真っ最中だった。その姿は、昨夜のものとはまた違った意味で綺麗で可愛い彼女だった。刺激的な夜を一緒に過ごしたということもあいまって、その目を見るだけで心臓がドクンと鳴ったような気がした。

 チェックアウトを済ませた二人は、小雨の降る中京都駅へ向かう。途中、コンビニ寄って彼女はカットバンを購入する。昨日よく歩いたせいか、彼女の足は靴ずれを起こしていた。そんな足に私は優しくカットバンを貼ってあげた。

 
 タイミング的には朝食の時間だが、彼女は相変わらず特にお腹は空いてないと言う。私自身も特に空いていなかっった。かと言って、東京のときのように悩んで胃が痛かったわけではない。夜に彼女の気持ちをいっぱい受け取ってお腹がいっぱいだったというのが本音だった。そこで、前日より予定していた京都駅ビルの伊勢丹の上階にある抹茶パフェのおいしいお店へ行くことにした。

 そのお店はまだ朝だというのにすでに行列ができていた。店員に名前を聞かれたため、一瞬どうしようか迷ったが、適当に職場の後輩の名前を名乗って順番待ちをした。順番がまわってきて名前を呼ばれたときにすぐに二人とも反応できなかったこともあり、クスクス笑いながら二人でパフェに舌鼓を打った。

 二人はその後、地下鉄に乗って烏丸方面へ向かう。地上へ出ると情緒豊かな錦市場商店街を散策した。露天に並ぶものを見ていると、私は無償にお腹が空いたので彼女に我がままを言って近くに蕎麦屋に立ち寄って昼食をとった。彼女は相変わらずヘンテコリンな食べ物を注文していたようだ。

 昼食後は雨が降る中、昨日歩いた河原町へ歩を進めた。ここでもまた東京のときの同じようにゲームセンターに入る。相変わらず私は彼女のためにクレーンゲームに悪戦苦闘する。私を見かねた店員が中の商品を取りやすいように移動してくれたお陰で、でかい縫いぐるみを二つもゲットすることに成功した。彼女は大はしゃぎだ。
 場所を変えて再びゲーセンに入り、二人はそこで初めてプリクラを撮影した。私は最初はかなり照れくさかったが、だんだん調子に乗り始めて仕舞いには抱き合ったりキスし合ったりなどしてしまった。
 撮影したプリクラは結局全て彼女に渡すことになった。持ってても、貼るところがないのだ。正確に言えば、持ってるとやばいものだ。一瞬彼女は寂しそうな顔をしたが、「やっぱりそうですよね・・・」と言って受け取ってくれた。後味が悪かったが、そうせざるを得なかった。思い出の品を捨てるわけにもいかなかった。

 
 楽しい時間はあっという間に過ぎていくものである。彼女の帰りに時間が2時間後に迫っていた。残された時間をどう二人で過ごすのか相談した結果、一時間の約束でカラオケボックスに入ることにした。これが終わるとしばらく二人っきりの空間はお預けになる。そこで二人は思いのたけをぶちまけるかのように歌った。私も歌うことが苦手ではないので、彼女に自分の喉をここぞとばかりに披露した。
 彼女が歌ったのは、あの「恋のつぼみ」。私はその歌詞を彼女の今の気持ちとして受け止めた。この後もしばらくこの歌が頭から離れなかったほどだ。そして、彼女が歌ったもう一曲。「一青窈」の「ハナミズキ」だ。彼女は大変この歌が好きなようで、彼女が始めて私に「好きでなんです」と言ってくれた飲み会の日にも歌っていた曲だった。
 
 ただ、この「ハナミズキ」という曲・・・。「恋のつぼみ」は歌詞をじっくり聞いていたものの、この曲の歌詞は聴きながら頭には入っていなかった。CMで流れていた曲。聴いたことのある曲だという認識しかその時にはなかった。後にこの曲の歌詞が遅かりし恋の果てに重大な意味を持っていようなど、この時には考えもしなかった。

 ひたすら歌ったと思った頃には約束の一時間は終わりに近づこうとしていた。二人きりの時間は残酷に過ぎていく。また会えなくなるという二人の思いは、その部屋で自然に寄り添い、抱きしめ合うことになった。そして、またキスをした。思いのたけを爆発させるが如く、濃密なキス。昨夜のように再び二人の舌が妖しく絡み合った。私はちょっぴり興奮してしまい、不覚にも彼女の胸に手を延ばしてしまった。

「もう・・・駄目だよ・・・」

さすがにこの部屋の中ではそれまでだった。私は調子に乗りすぎてしまったことに後悔しながら時間まで再び濃密なキスを交わした。私の唇は彼女の付けていたグロスで光っていた。もう・・・そんなことは一向に気にならなかったけれども。

 カラオケボックスを出ると、あとは京都駅へ向かうのみだった。寂しい別れを目の前に控えた二人は、東京の時と同じくして再び会話が減り始める。途中に地下鉄の中でも、時折お互い顔を見合わせて身を寄せ合うことが多かった。

 京都駅前に辿り着いた頃、彼女の乗る高速バスはすでにスタンバイしていた。私はその場所まで傘を片手に彼女の肩をずっと抱いていた。

「ホントに楽しかったです。ありがとうございました。」
「いえいえ。こちらこそ。楽しかったね。」
「もう来週には出張から返って職場復帰ですね?」
「そうだね。今度は毎日会えるね。帰るのがすごい楽しみだよ。」
「毎日・・・会えますよね・・・」
「そう。毎日。まあ、来週までの辛抱だけど。」
「そう・・・ですね・・・。」

この時、彼女はとても悲しく、寂しげな目をしていた。私は一週間後もしたら会えると思うと、今の別れは大したことはないと思っていた。しかし、彼女の目は私が思う以上に悲しい目をしていた。何をそこまで思いつめたような目をしているんだろう・・・と、少し不安になりながら私は彼女を見つめていた。そして、私がその目をちょっとバスの方へ向けた時、彼女は突然、私の唇にキスをした。

「それじゃあ、帰ります!ホントにありがとうございました!」
「うん!気をつけてな!」

私は彼女の乗ったバスが視界から消えるまでずっと見送った。



「会えるよ・・・。毎日。また二人で遊びに行けるよ・・・。そうだよな。きっと。」


 私は心の中で、そう呟きながら帰路に就く為に京都駅へ向かって歩き出した。
 
 二人の恋愛と云う名の不倫関係は、まだ始まったばかりだった。
 
 
 「コンコン」

 ドアをノックする音。彼女が来たようだ。
 
 いったいどれだけ待っただろう。時間にして30分くらいだろうか、私には何時間も感じられた。そして、現れた彼女の姿を見て驚いた。Tシャツにジャージのズボン、顔には眼鏡をかけていた。そして、私の期待に応えてノーメイクだったのだ。眼鏡をかけている姿は職場で何度か見かけたことがあった。何より嬉しかったのは、あれほど拒んでいたノーメイクで現れてくれたことだった。

「ノーメイクでも全然大丈夫だよ!かわいいよ!」
「もう!恥ずかしいのであまり見ないでくださいよ~!」

その素のままの姿を見せてくれたことで、また一歩、彼女との距離が縮まったような気がした。ノーメイクでも、彼女は彼女。また胸がキュンと鳴ったような気がした。

 例によって再び彼女は地元からお土産を用意して来てくれていた。珍しいお菓子。今回は宇宙食のお菓子だ。二人でそれを食べながらお互い微妙な顔をし合った。甘すぎたのだ。歯磨きした後だったので余計微妙な味がしたのだけれども・・・。
 
 それからしばらくの間、飲み物を飲みながらテレビを見て談笑する。私自身、談笑とはいっても心は相変わらずドキドキで顔だけ笑っていたのかもしれない。これからどうしよう・・・なんて考えて、そのことで頭がいっぱいの状況だったのだ。彼女はいったい今どんな心境でいるのだろうか、と、彼女の頭の中を開けて考えていることを探ってみたくもなった。

 私はベッドの上で横になってテレビを見ている。彼女はベッドに腰掛けてテレビを見ていた。この時に思ったこと。二人で街を歩いている時やバスに乗っている時など、ずっとべったりくっ付いていたりするのに、どうしてこんな状況の時はあまり近くに寄って来ないのだろう。ここに来る前までは彼女から引っ付いて来る時もあったというのにだ。私はその時、どうやってこの場で彼女を抱きしめようかと考えていたのだが、彼女から寄り添ってきてくれればそんな考えを起こす必要などないのに、などと自分勝手なことを考えたりしていた。

 そして、二人の話がしばらく途切れ、部屋にテレビから流れる音だけが響いている中、私は体を起こし、彼女の後ろから彼女をギュッと抱きしめた。そして、彼女を横にさせた。

「もう!びっくりしたじゃないですか!痛いですよ!」

ちょっと力を入れすぎたようだ。私は彼女に「ごめん」と一言だけ言った。

そして、彼女にキスをした。
 ソフトなキスをじっくり堪能するかのように、付いては離し、付いては離しを何度か繰り返す。私は自分の舌を少しだけ彼女の中へ忍び込ませてみた。彼女の舌に触れるが、彼女から絡ませてくるようなことはない。まだ、彼女にはそんな経験がないのだろうか、とその時は思った。ただ、もう東京の夜とは違って、彼女の肩には力が入っていなかった。

 私はキスを続けながら彼女のTシャツの上から胸に手を差し伸べ、ゆっくり胸を揉みしだく。そして、Tシャツの裾に手をかけてゆっくりと脱がしていく。
 
 私は彼女の体全てを見たいと思った。彼女の肌を感じたいと思った。そして、彼女の体温を感じたいと思った。
 
 こうこうとついていた部屋の明かりと、一人で物を言っているテレビのスイッチを消した後、彼女のブラをはずし、私も着ていたTシャツを脱いだ。そして再び抱き合った。温かく、滑らかな肌が私の肌に触れる。初めて感じた彼女の体温。こんな状況の中でも、それを感じることで私は何ともいえない落ち着きを覚えた。
 生身で触れ合いながら、私は彼女の耳や首筋にかけて舌で愛撫した後、胸を手と口で愛撫した。彼女の口から除々に溜息が漏れ始める。それを感じながら私は更に愛撫を続けると、更に彼女の声は大きくなったいった。彼女の一番感じる所をそれで確信し、集中的に舌で転がした。より一層、その声は大きくなっていく。
 その間に私の右腕は彼女の下半身へと伸びていく。下着の上から指を震わせながら彼女の反応を見る。彼女の腰が除々に仰け反るようになると、私はゆっくりと彼女のズボンと下着を一緒に脱がした。彼女は遂に全裸になった。私も同じように全てを脱ぎ捨てた。

 私は舌で彼女の胸を転がしながら、下半身に伸びている右手の動きを早める。もうすでに彼女は濡れていた。私はその濡れている箇所に指を忍び込ませて、今度はゆっくりと動かしていく。ますます彼女の腰が強張っていった。感じているんだ・・・。

 彼女の腕は私の上半身を抱きかかえていた。彼女も私を求めているように感じた。そして、私の下半身も、あの夜とは違って、明らかに元気になっていた。ただ、その最中でもあの時の悪夢が頭をよぎった。本当に俺は大丈夫なんだろうか、あのことがトラウマになって、いざと言うときに駄目になったりしないだろうかと。

 私の指は除々にその動きを早めていく。そして、彼女に小声で囁いた。
「俺のも、触ってほしい・・・」

 彼女の目はちゃんと開いて逸らすことなく私を見ていた。暗闇の中でもそれを確認できた。そして、無言で彼女は私の下半身に手を伸ばし、それをゆっくりと動かしてくれたのだ。二人で、お互いで、更に愛し合う・・・。私はそれで全てを確信した。

 もう、独りよがりなんかじゃない・・・

 彼女の下半身はもう充分に準備ができていた。私は彼女の下半身から指を離し、彼女に腕枕をしていたもう一方の腕も離した。
 
 そして・・・
 
 彼女の中へゆっくりと入っていった。ゆっくりと、彼女を感じながら。彼女もそれを受け入れるくれる。私は彼女を強く抱きしめながら、腰を動かしていく。彼女も私を強く抱きしめる。
 もう、頭の中が真っ白になっていくほどの快感だった。彼女も目はしっかりと私を見つめている。腰の動きを強めると、私の体から汗が吹き出てくる。それが彼女の体へ滴り落ちていく。やっと、やっと、一つになれたよ・・・。

 私はそのままの格好で、彼女を抱き起こした。彼女が私の上の状態になった。そしてすでに承知しているかのように、彼女はゆっくりと腰を動かし始めた。カーテンの切れ間からかすかに入る街の明かりが、彼女の小柄で細身の、均整のとれた体をぼんやりと映し、そして妖しく蠢いていた。私はそんな彼女の姿に更に興奮を覚えた。

 彼女はもう何の恥ずかしい素振りも見せない。今度は私は後ろから彼女を攻めた。更に指で彼女の恥部も攻める。感じる彼女の声は隣り部屋に聞こえんばかりだった。もう、そんなことはお構いなしに、私は彼女を攻め続けた。

 そして・・・私は彼女を強く抱きしめたまま、彼女の中で果てた。私の体は既に汗でびしょびしょになっていた。彼女も、私の汗でびしょびしょになっていた。私は彼女に寄り添って腕枕をしながら再び彼女を抱きしめて、囁きあった。

「好きだよ・・・大好きだよ・・・」
「私も・・・好きでしょうがないよ・・・」
 
 あまりの喉の渇きのため、私は枕元においてあるペットボトルのお茶を飲んだ。すると、彼女が言う。

「私も欲しいです・・・」

私はそれを口に含むと、彼女の口にそれを注ぎ込んだ。お互いの唇がじわじわ濡れてくるのを感じる。

「もっと・・・欲しいです」

唾液かお茶かよくわからぬほど、それを繰り返す。そして、彼女も同じように、口に含んだお茶を私の口に注ぎ込んでくれた。

 それから二人はベッド中で愛を語り合った。お互い今迄どんな恋をしてきたかとか、お互いのどんなところが好きなのかなど・・・。
 
 やがて私が目を閉じて眠りそうになっても彼女は私を寝かせまいとした。私は驚いて目を覚ました。彼女が私の上に乗ってキスをしてきたのだ。激しく、舌を絡ませるキス。彼女の舌は私の唇を激しく舐め、激しく私の舌に絡ませる・・・。私が息ができなくなるほど。最初のキスはあれほどソフトなものだったのに、そんなに激しいキスをしてくるなど思っても見なかったのだ。

「すごいよ・・・息できないよ・・・」
「うふふ(笑い)」

 私はそれに激しく興奮する。そして、再び私の手は彼女の下半身へ伸びた。また、二人は激しく愛を交わすことになる。そんなことがこの夜は数回続いた。この一ヶ月の想いを全てぶちまけるかのように、二人は何度も愛し合ったのだ。

 遂に、心も体も、正真正銘、一緒になった夜だった。あの東京の夜とは明らかに違う、刺激的な夜だった。

 
 もう、誰も二人を止めることなんてできないと思った。