TSUNAMI 津波 (集英社文庫)/高嶋 哲夫
¥860
3月12日読了

阪神大震災後に東京を襲った架空の『平成大震災』後の近未来の日本が舞台。著作に『M8 マグニチュード8』があり、こちらが平成大震災を書いたものだと思う。

『平成大震災』の後、東海、東南海、南海地震の危険性が騒がれている。大浜市防災課の黒田は大学で地球物理学を学び、地震のメカニズムにも詳しかったが地震予知の限界を感じ、『災害は仕方ないもの。しかし被害は最小限に』という『減災』理論を研究していた。
しかし日本は過去の二度の震災の教訓を生かせずにいて、そんな時に東南、東南海、南海地震が同時発生し大津波が日本を襲う。

著者の予備知識なく読み始めたが骨太のストーリーとしっかりした理論の裏付けがあり他の著作を調べると『虚構金融』『ミッドナイトイーグル』など私が知らなかっただけで実力派の作家だった。

読んでの感想は『こんな災害が本当にあったらどうするの??』とベタだが実際には十分起こりうる可能性はあることだ。

じっくりと飽きさせず読み切れる秀作かな。

原発のくだりでストーリーを先読みできる箇所があったが他は先の展開が読めずドンドン進んでしまう。
落ちこぼれてエベレスト (集英社文庫)/野口 健
¥650
Amazon.co.jp
12月7日読了

もうずいぶんと前になってしまったが12/1にコスモ石油主催の「アースコンシャスアクト」という野口健氏の講演会に参加した。


帰りにサイン入りの著作を2冊購入し、握手&写真を一緒に撮ってもらった。

本作は著者の自叙伝的な意味合いが大きく、生まれてからの生い立ち、なぜ登山家になったか、登山家になり7大陸最高峰登頂を目指し、最後のエベレスト登頂までを書いたものである。


野口健氏は外交官の父とエジプト人の母の間に生まれ、幼少期は父の仕事柄外国で生活をしていた。父の仕事で日本に帰国しても同級生からは外国人扱いをされたという。


講演会も時間を感じさせない巧みな話術とユーモアのセンスが光るが、本作も講演会で聞いたことがある話もあるにも関わらず一気に読めてしまう面白さとページ数だ。


100万回のコンチクショー (集英社文庫)/野口 健

¥560
12月14日読了

「落ちこぼれてエベレスト」とも一部かぶる。

こちらのほうが後に書かれた著作なので環境問題やネパールのシェルパ基金など現在の活動を支えている「何か」がわかる著作。



人民解放軍が沖縄を攻める日/柘植 久慶
¥1,500
12月5日読了

出張移動の車内で前述の「原潜救出」を読み終え、帰りにこの小説を読みきってしまった。


時代は2008年、北京オリンピックを前に現体制打倒をもくろむ反体制が中国国内で爆弾テロを起こす。その結果五輪は中止に。国家としての面子を失った中国は「沖縄は中国の領土」と発表し、島嶼に軍を派遣し占領する。


こんな感じで物語りは進み、結局は日本が占拠された島嶼を奪還し中国と米国の現体制が...となっていくわけだが、著者の柘植氏は確か元グリーンベレーで小説家ではない。

この小説もある意味「大味」な仕上がりになっている。


現代戦のフィクション物は何冊も読んでいるが「大味」かつストーリーも先読みできてしまう。


トム・クランシーやキース・ダグラスあたりを読んでいる方は物足りなさを感じるだろう。

原潜救出 (ハヤカワ文庫NV)/ダグラス リーマン
¥945

12月5日読了


著者:ダグラス・リーマン

ハヤカワノベルス


近所の本屋で平積みになっていた。
潜水艦物の小説は好きなので読んでみることに。


時代は冷戦中、まだ列強各国が原潜を配備し始めるあたり(1960年代?)
めずらしくイギリスの潜水艦が主役であり、シンガポールと東シナ海、北朝鮮沖が舞台になっている。

他の潜水艦物と違い、乗組員の心理描写が非常に細かい。著者は海軍経験者なのか?


めずらしくアマゾンの書籍検索で発見できず。

ハヤカワノベルス

所ジョージのキャラクターナビゲーション/所 ジョージ

¥2,800
11月24日読了??

発売当初より気にはなっていたが2800円出して購入すべきものかどうかを迷っていた。

先日図書館に行った際、見つけたので借りてきた。


人形を並べタイトルやセリフをつけて遊ぶのが「キャラクターナビゲーション」だ。必ずコメントをつけるらしい。

本書は見開きで左側に人形の写真、写真の下に所氏自筆のタイトル、セリフが書かれており、右ページには活字でコメントが書かれている。


セリフも読んでいて楽しいが、コメントも非常に興味深い。所ジョージの価値観が垣間見れる。


中には本当に共感できるものもあるし、勉強になるコメントもある。


高額の図書だが、立ち読みではこの本の良さはわからない。(借りてきた人が偉そうに言うなと指摘がありそうだが...)


続編も出ているようだが、ページ数が圧倒的に少ない。ネタ切れだったのかな??

天空の蜂 (講談社文庫)/東野 圭吾
¥880
11月4日読了

池上 司、真保 裕一、鳴海 章、ジョン・J・ナンス、これらの著書が書店で平積みされていたらまずは手に取る。このマイフェイバリッド著者に「東野 圭吾」を含めるかどうか迷っている。


東野作品はほぼ1年前に「手紙」を読んだだけ。

ブックレビュー「手紙」


本作は「手紙」とはまったく異質の作品だと思う。

刊行は1995年なのでもう12年ほど前になるが時代の古さを感じない迫力がある。


以下、帯より

姿無き敵が乗った自衛隊の大型ヘリが爆薬と子供を乗せて原発の上に...

ここに描かれている問題は、12年を経た今なお、解決されないままで日本国が抱え続けている最大級の国家危機である


原発に飛行機が墜落したらどうなるか?


そもそも原発の上は飛行機が飛ぶことが禁止されている。ゆえに飛行機が飛ぶことはない、つまり飛行機が墜落することはない!


原子炉運転中に何かが墜落してもなんら影響はない。

原子炉以外の発電系などにトラブルが発生すれば係員が緊急停止をさせる。

もし、係員が緊急停止をさせなくても異常が発生すれば自動停止する。

係員が緊急停止させるのも自動停止させるのも数秒の差があるだけで実際はほとんど変わらない。

自動停止が働かないことは「絶対にありえない」。


じゃあ、係員なんていなくてもいいんじゃないの?という矛盾が顕在化する。


小説の中なのでどの程度の信憑性があるかどうかはわからないが、このあたりの危機管理の欠如を著者は見事に突いている。


しかも帯にあるとおり日本という国はこの矛盾にあえて目を向けていないように思われる。


原子力政策以外にも集団的自衛権の行使、韓国・中国との戦後保障など、はっきりと物を申して決断するべきことは決断すべきなのでは?と思ってしまう。


政治家も役人も腐りきっている国だからねぇ...


東野ファンというより硬派のサスペンス好きに是非お勧めの一冊!
軌道離脱/ジョン J.ナンス
¥966
Amazon.co.jp

4月14日読了

著者のジョン・J・ナンスは元空軍パイロットで航空サスペンスを何冊か出している。


本作は航空サスペンスではなく、近未来の話。民間宇宙船で宇宙旅行が事業化している時代が背景。抽選で当選したサラリーマンが宇宙旅行に行き、軌道に乗ったがパイロットが事故で死亡し宇宙船も故障。船内のパソコンで自分の回想録を書いていたが、それが何かの都合でリアルタイムで地球に転送され、全世界が注目をする。


事故の原因、小説の最後がどうなるかはネタバレなので書かないが、ナンスの小説は安心して読める秀作が多い。

初めてナンスの著作を読んだのが「着陸拒否」だった。

ジョン・J. ナンス, John J. Nance, 飯島 宏
着陸拒否

この小説はアメリカでミニドラマになったほどの秀作である。国際線のジャンボジェットの内部で伝染病に感染している疑いのある人が発見され、各国で着陸を拒否され撃墜される可能性も出てくるような話。


「軌道離脱」もフォックスが映画化の権利を取得しているらしく、近年中に映画で見られると思う。

戦士たちの挽歌―Forsyth Collection〈1〉/フレデリック フォーサイス
¥580


囮たちの掟―Forsyth Collection〈2〉/フレデリック フォーサイス
¥580

3月30日読了

フォーサイスはしばらく読んでいなかったが、好きな作家だ。

今回は2冊とも短編集で「戦士たちの挽歌」にはタイトル作含め3編が、「囮たちの掟」には2編が収録されている。


2冊とも甲乙付けがたい秀作。「戦士たちの挽歌」は結末の意外性が楽しめる作品で3編ともに推理小説張りのどんでん返しというか「あれっ!」という楽しみがある。

「囮たちの掟」は2編、まったく違う内容であり収録されている「時をかける風」はフォーサイスにしては珍しいラブストーリーになっている。


いずれの作品も綿密な取材を元に作られている秀作であり、「囮たちの掟」に収録されている「時をかける風」は女性にもお勧めの作品である。



ウソの温泉ホントの温泉―あなたが行く温泉は大丈夫?/鵜飼 克郎
¥1,200
Amazon.co.jp


2月19日読了

2004年に「長野県白骨温泉が入浴剤を使っている」と週刊ポストにスクープされ、ワイドショー含めてニュース番組が大騒ぎになった。


著者はそのスクープをした週刊ポストの記者である。


この本を飲む前から「温泉法」がザル法であったことは知っていたが、ここまでひどいとは思わなかった。


温泉法は「温泉源から採取されるときの温度が25℃以上」。19項目の物質(水素イオンなど)のどれかひとつが含まれること。となっている。


驚きなのが上記の2条件は「いずれかが該当すれば法律上は温泉になる」


ボーリングして25℃以上の温水が出れば「温泉」、冷たい水でも19項目のうちどれかひとつでも含んでいれば「温泉」。その水を利用して施設を立て、開業したら立派な「天然温泉XXX」の出来上がりである。


あくまで「温泉」を定義しているのは源泉の状態であり、それが湯船に入っている状態はまったく違うものでも法律上は問題ではない。


何を言いたいかというと、源泉はチョロチョロとしか沸いてなくても保健所に届出をして「温泉」と認定され、チョロチョロの源泉を大量の水道水で割って、風呂釜で沸かして「温泉大浴場」と宣伝しても法律上は違法ではない。


脱衣場に張ってある「成分表」も源泉が沸いたときに保健所で一度検査をすれば発行され、更新などが無いため源泉が枯れて水道水を100%使っていても成分表からは何もわからない。


また、よく見てほしいのだがあの成分表はあくまで源泉の位置、源泉の成分が記載されておりよく読むと実際の風呂のある場所とはまったく違う場所の住所が記載されているケースがある。

(どこかから温泉水を購入している場合、パイプラインで送っている場合などが該当)


この本を読んだら「源泉掛け流し」の温泉なんて本の一握りなんじゃないかと思ってしまう。(実際ほんの一握りみたいだ)


参考になったのは水で割っているかどうかの判断材料のひとつとして、源泉の湧出量を参照すればいいとある。

湧出量(毎分)=そのホテルの定員だとほぼ源泉だけでまかなえる。定員のほうが多い場合浴槽を大きくしなければならないので水で割るしかない。


あと興味深い内容として全国の温泉ランキングでも上位に入る伊豆の伊東温泉にある超高級旅館「X」がインチキ温泉とすっぱ抜いている。

「X」は全室客室露天風呂があり、開業してTVの取材などで人気になり半年先まで予約が一杯という人気旅館だが、その旅館には源泉が無い。近くの源泉から分湯してもらう契約になっているらしい。著者が本書を書いた際にはまだ分湯の開栓が行われていないとのことで、今も多分どうだか怪しいと私は思う。


「X」は温泉組合にも加盟していないため組合でも情報が無く、取材も拒否、評判を落とすような取材は一切お断りといったところだ。


「X」は文面を読んだだけで私はピンと来て地図で調べてみて「あっ、やっぱりこの旅館だ!」と確信した。


温泉好き、風呂好きの方は是非一読してみてはいかがだろうか。


ね、うさぎちゃんお月見ウサギ



ターミナルマン/サー・アルフレッド・メヘラン
¥1,680
Amazon.co.jp

2月10日読了


トム・ハンクス主演、スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ターミナル」のネタ元になった人。


パリ、シャルル・ド・ゴール空港第1ターミナルで1988年から暮らしている実在の人物の話。


イラン出身で英国に留学中当時のパーレビ国王政権反対デモに参加し、帰国後秘密警察に捕まり拷問を受け国外追放になった。欧州各国で入国を拒否され、ベルギーで難民認定されパリから英国に渡ろうとしていたところ、引ったくりにかばんごと書類を盗まれ身分を証明するものが何もなくなり、フランスに入国することもできず空港ターミナルで暮らすことになった。


本書の書き方は斬新だった。現在と過去が入り混じりながら書かれており、同じ場面、同じ表現が何度も繰り返されたり、繰り返される場面、表現も印象的なものなのでスッと頭に入ってくる。


「私の左手の人差し指の爪は他より長い。それで下唇をなぞり、滑らかさを確かめる。」


何度も出てくる記述で、前後の文章とはつながらないのだが不思議と違和感がない。

著者がうまいのか訳者がうまいのかはわからない。


この流浪の民「サー・アルフィレッド・メヘラン」がなぜ流浪の民になったかというと、実は自分に原因があった。
イギリスに入国するために必要な書類を入国前に「もう必要ない」と判断し、ベルギーに送り返してしまった。残された書類も盗まれてしまったので無国籍人になってしまった。

実はフランス政府、弁護士などの協力で一時は自由のみになれるチャンスがあったのだが自分からそのチャンスを断ってしまった。
理由は書類の国籍が「イラン人」になっていたからだ。サー・アルフレッドはイラン人ではないと言い張り書類にサインをしなかった。

だから彼はまだシャルル・ド・ゴール空港第1ターミナルで暮らしている。


「サー・アルフレッド・メヘラン」をgoogleなどで検索するといろいろなブログ、記事が検索できる。本人の写真も見ることができる。


シャルル・ド・ゴール空港に行けば彼に会うことができる。


私の考えでは、サー・アルフレッドはもう普通の暮らしをする自信がないのではないかと思っている。
空港ターミナルで16年も暮らし、働くこともできず、ただただ毎日を過ごしている。そんな生活をしていて「はい、今日からフランス
人です。どこでも好きなところに行って暮らしてください!」と言われても現代社会に順応するのは難しいと思っている。


サー・アルフレッドを見たことがある方は教えてほしい。