失踪都市: 所轄魂 (文芸書)/徳間書店
¥1,782
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2015.5.5読了

ストーリーは面白い。
最後がどうなるか読めない展開もさすがだと思う。

が、これだけ頻繁に笹本稜平の警察シリーズを読んでいると思うところがある。

素行調査官が若いキャリアと中途採用の同級生、ロートルノンキャリアが主人公なのに対し、こちらは元捜査一課の所轄の警部補と、その息子であるキャリアの管理官、ストーリーの前に頭の中で互いが意識され、どうしても比較してしまう。

単発で読むのであれば間違いなく面白く、お勧めの一冊だが、しばらく警察物から離れてみようかと。
雪男は向こうからやって来た (集英社文庫)/集英社
¥670
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2015.5.2読了。

雪男-イエティ-。

昔から「いる」「いない」で騒がれてきた。
ネッシーやツチノコよりは信憑性が高いが、未だに存在は確認されていない。

冒険家、角幡が雪男捜索隊に誘われ参加、徐々に雪男に魅せられていく。

最初は角幡もその存在を信じていなかったが、著名な登山家や有名な冒険家も雪男の存在を信じていることを目の当たりにし、捜索隊への参加を決意、角幡も雪男のロマンに少しづつ染まっていく。

2008年の捜索隊参加記が本書の軸だが、それ以前の目撃情報、背景なども雪男を知る上で興味深い。

角幡は地球最後の人跡未踏の地、ツァンポー警告に足を踏み入れたときの著作「空白の5マイル」、北西航路探検時代に遭難し、全員死亡した後を手繰る「アグルーカの行方」とノンフィクションの期待される冒険作家。
中国崩壊前夜: 北朝鮮は韓国に統合される/東洋経済新報社
¥1,620
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2015.4.23読了

著者がどの程度中国、韓国通かわからないが、ちょっと大げさかも。

共産党独裁の限界、近いうちに内部崩壊する恐れは以前に読んだ本にもあるので、ある程度理解を示すが、7つの軍区の連邦制になる点、日本の重要度が益々上がる点など希望的観測過ぎるかもしれない。

この本が出版されてからそろそろ1年。この1年で中国も変わっているので少し軌道修正が必要か?
殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件/新潮社
¥1,728
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2015.4.22読了。

「北関東連続幼女誘拐殺人事件」

こんな事件は存在しない。

いや、警察が存在させていない。

このうちの1件は記憶にも新しい足利事件で、無期懲役の菅家利和さんが無実の罪を着せられ、17年も服役していた事件だ。

菅家さんが釈放されたのは2009年6月。まだ最近。菅家さんは杜撰なDNA鑑定と拷問にも近い取調べで自白を強要され17年もの歳月を刑務所で過ごすはめになった。

菅家さんが捕まった際、以前に起きた2件の事件も無理やり自供させられたが、これは不起訴となった。
5件の幼女連続誘拐殺人事件、菅家さんの無実の罪が証明された今、犯人は捕まらず普通の暮らしをしている。

著者は初期のDNA鑑定の危うさを丁寧に解読し、菅家さんの無実を信じ、残り4件も含めて犯人が他にいることをメディアに訴えていく。

それを自分たちのメンツを守るために次々と警察や検察が妨害していく。

これはノンフィクションだ。

警察小説も好きで結構読むのだが、こんなことが現実であってはならないと強く感じる一冊。

是非、多くの人に読んでほしい本
素行調査官 (光文社文庫)/光文社
¥802
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2015.4.19読了。

笹本稜平にハズレなし。
越境捜査等のシリーズ物であるが、これも素晴らしい。

警察庁監察部の本郷は元私立探偵。同級生の入江に特別採用枠で採用された警察官。

監察は警察内部の不正を摘発する部署で、不正を未然に防ぐ役割もあり、相手が犯罪者でないことから自らを「素行調査官」というらしい。

ストーリーは何本かの複線があり、さまざまな登場人物がどう関係していくのかの予測ができずラストがわからない。

多分、作者は続編を書くことを考えていると思う。次回作も本郷、入江、北本のトリオの活躍が楽しみ。
こゝろ (角川文庫)/角川書店
¥350
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2015.4.15読了。

娘が国語の教科書に出ていたということで読んでいた。
今まで純文学は一切読んだことがなかったので興味本位で読む。

案外面白い。

中高生に読ませたい小説の一位。日本で一番読まれている小説らしい。

私と先生、Kと先生の妻、複雑というかなんというか後半の先生と私の部分は読んでいて時々切なくなることがある。

ブックレビューを見ても何度も再読している人がいるが、自分も5年後に再読してみたい。
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)/文藝春秋
¥702
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3月に靖国神社の「遊就館」を見学し、日経新聞でも著名人の紹介もあったので初の志波遼太郎作品に挑戦。

前半は秋山兄弟と正岡子規、後半は日露戦争の話。日露戦争は203高地で勝って、バルチック艦隊に日本海海戦で勝った程度の知識だったが、前述の遊就館見学で気持ちと認識が変わりもっと知りたいと思って一念発起、長編を読む。

興味もなかった日露戦争だが、当時はこの戦争に負けると日本がなくなるという全国民の思いで戦いが続けられたことが驚き。

名将だと思っていた乃木希典がきっての愚将だったこと、東郷平八郎は最初から期待されていたわけではないことなど、色々とはじめて聞かされる話しも多く、司馬作品を斜めに今まで見ていた自分が勘違いだったことに気づかされる。(今までは勝手に左側の人だと思っていた)

日露戦争の背景など、今と時代が違うので今の尺度では理解できないことが多いかもしれないが、太平洋戦争からも70年以上が経過しようとしている今、国のために死んでいった人を祭っている神社にも政治家が参拝できず、70年以上前の価値観を持ち出して「軍隊」=「戦争を始める」という、動脈硬化的認識の方々には改めて閉口してしまう。
ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」/KADOKAWA/角川書店
¥1,512
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2015.4.11読了。

日立製作所 元会長 川村隆の著書。

「ラストマンになれ」、自分に結構響く言葉。「自分の後ろには誰もいない」この覚悟で物事に当たることができているか、自分に問う。

■勉強になったこと
・たいていの改革はスピードさえあれば何とかなるもの。
・15分で結論を出す。「時間を区切る」「情報不足でも必ず決める」
・きちんと稼ぐこと。お金の匂いがするか?

慎重なる楽観主義者、前途に待ち伏せるリスクに対しては周到に準備する人。

全日空機のハイジャック時に乗り合わせていた、川村氏、一度死んだと同然だという割り切りもあり、史上最大の赤字を出した日立製作所の社長に復帰、中西前社長と共に見事V字回復させる。


東名高速に死す: ハイウェイ・ハンター・シリーズ (光文社文庫)/光文社
¥799
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久々の大薮晴彦。久々のハードボイルド。
本作は1960年代後半に週刊ポストの創刊号から連載されたものを1970年に単行本化したもの。

主人公は警察庁刑事局に直属している秘密捜査官 西条秀夫。
結構警察小説は読んでいるほうだが、本作はハードボイルドど真ん中なので、まったく異質。
バンバン撃って、バンバン殺し、金も使い放題、女ともやり放題。

背景が50年近く昔で、現在と同じ日本とは思えないほど変わっており、西条も強すぎるので感情移入して読むタイプの方は無理。

SFと思って読むほうが楽しめると思う。
推定脅威/文藝春秋
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2015.2.14読了。

2014年松本清張賞作。

羽田空港の書店で見つけ、半年経ったが、やっと読む。

架空の国産戦闘練習機 TF-1をめぐる話。

ドッグファイトや戦闘シーンを楽しみに読むとまったくの期待はずれになる。

作者は東大工学部航空工学を専攻、本作もアビオニクスや空力、機体設計にかかわる話が主題。

主人公は航空機メーカの女性と、そこを辞めたフリーのデザイナーで、作者もフリーのデザイナー(航空機メーカ退社後)というのは単なる偶然か?。