5月がもう終わろうとしています
これは今から約6年ほど前の話ですが、スポーツライターの酒井政人さんが書いた記事で気になる事がありました。
大学受験を控える3年生にとっては「敗退=引退」となるケースが殆どです。勿論一日でも長く仲間達と共に戦いたいでしょう。
そんな感情を抱きつつ、部活動で練習に励んでいるでしょうけど、こんな現実を突きつけられると納得できるでしょうか?
173分の1=甲子園出場=23分の1
これは何を意味するかというと、高校野球の地区予選における愛知県と鳥取県の甲子園に行ける確率を示した数式です。要するに、
愛知県173校÷鳥取県23校=格差7.52
これだけ格差があるにも関わらず「イコール関係」にあったという事実です。(2023
年現在)
実際、高校野球を代表とする高校スポーツにおける代表校選び・選手選び「地域格差」は以前からしばしば指摘されています。
47都道府県(北海道と東京のみ2校)で結局分けているため、地区代表になれるのは1校のみです。
実際地区代表になるにあたり、ノックアウト方式トーナメントで戦うため、愛知県は初戦から7~8試合、鳥取県に至っては4~5試合無敗で甲子園の切符を掴むことになります。要するに愛知県は鳥取県のおよそ2倍の労力がかかることになりますので、行きやすい地区と行きにくい地区があることが分かります。
そういった歪みが出た例として、「野球留学」があります。甲子園に出場したい思いから激戦区の優秀な選手たちが比較的出場しやすい地区の名門校へ流出しているのも事実あります。
- ダルビッシュ有(大阪府出身)・・・東北高校(宮城)
- 田中将大(兵庫県)・・・駒大苫小牧(北海道)
- 坂本勇人(兵庫県)・・・光星学院(青森)
この3名は関西出身なので関西弁をしゃべりますが、甲子園出場達成+ドラフト1位でNPBの球団に入団を果たし、現在も輝かしい成績を残しています。
アスリートとして成長するための留学なら何もいう事はありませんが、甲子園に出たいがために越境入学となると多くの犠牲を払う可能性があります。
当然越境入学ですから、寮費が相当かかるため経済的負担が大きいため、生活費がバカにならないでしょう。これで甲子園へ行けなかった場合は実家から遠く離れた場所にいる選手はどういう気持ちになるか、もしくは周囲からどんな目で見られるのか、輝けるとは限りません。むしろ成功できないケースが圧倒的に多いのです。
また、甲子園出場を決めたとしましょう。代表校にその地区出身の選手がほとんどいないのです。例えば2016年の熊本県代表の秀岳館とかベンチ入り選手18人中、1人だけが地元選手で残りがほぼ大阪出身でした。これは何を意味するかというと、該当地区で生まれ育った選手の甲子園出場という夢を自動的に摘んでいることになります。
要するに、
「甲子園予選の格差を是正する以外方法はない」
のです。
今回は高校野球に限った話で述べていますが、サッカー、バスケットボール、バレーボールにしてもそうで、陸上競技に至っては、南関東と近畿のレベルが高く、人口の少ない北海道や中国・四国といった所はレベルが低くなります。にも拘わらず、インターハイへは「各地区上位6名」と決まっているため、一見平等には見えても選手目線でみると全然平等ではないのです。
全国大会に出場できるかどうかはその後の人生に関わってきます。これは断言していいです。
部活動に精を出す生徒は受験勉強が遅れがちになりますが、全国大会出場という肩書があるだけでスポーツ推薦、自己推薦、AO入試で大学進学する好機が出てきます。ですが大学へ進んだとしてもそこでリタイアすることもあります。
勿論逆に、高校で才能と実力があっても、全国大会へ進めず競技継続を諦めてしまい、人生が変わるケースだってあります。そういうアンラッキーなケースがあってはいけないでしょう。
ここでヒントがあります。それはサッカーW杯やWBCです。
甲子園のように各ブロックの代表数は平等ではありませんが、FIFAが各大陸のレベルや参加チーム数などを判断して、出場枠の数を多くしたり少なくしたりしています。
この「グローバル・スタンダード」に合わせて、全国大会への出場権を「公平」なものにしていかなければいけないのではないでしょうか?
「アスリート・ファースト」の精神が日本のスポーツを盛り上げるといっても過言ではありません。
スポーツ大国であるアメリカには全国規模の大会はほとんどありません。大体州大会が頂点で、日本でいう関東大会や近畿大会、東海大会といった地区大会で終了です。
スポーツ庁では、「多くの大会に参加するすることが生徒の負担とならないよう大会の統廃合を進める」という項目もあります。移動や宿泊に負担のかかる全国大会は縮小して、もっと地区大会を活性化させるのがいいのではないだろうかと述べています。
47都道府県から代表校が出ないと寂しいと考える甲子園ファンもいるでしょう。
ただあくまでも第一に考えるべきことは、「アスリート・ファースト」の精神で、彼らの将来性を大切にすることで、日本のスポーツが盛り上がっていくのではないかと考えているそうです。
さて、ここから自分が考える格差の解消方法について述べます。
まず日本で最も参加校数の多い愛知県が173校ありますので、そこから考えていきます。
予選は全地域でノックアウト方式トーナメントを採用しています。まずここから既に間違っています。
よく考えてみてください。
NPBで143勝0敗でシーズン終えることができますか?ありえないでしょう。
ここはWBCやラグビーのように、
予選をグループステージでリーグ戦方式を採用し、ある程度絞られてからノックアウト方式トーナメント(決勝トーナメント)にして決めるべきと思います。というよりも、そうすべきです!!
こうすることで1敗してすぐ引退とかなることがありません。
さらにこのグループステージの基本は5校ずつの奇数とします。
以下が図になります。↓
- A(後攻)vsB(先攻)
- C(後攻)vsD(先攻)
- E(後攻)vsA(先攻)
- B(後攻)vsC(先攻)
- A(後攻)vsD(先攻)
- B(後攻)vsE(先攻)
- C(後攻)vsA(先攻)
- D(後攻)vsE(先攻)
- E(後攻)vsC(先攻)
- D(後攻)vsB(先攻)
ただ参加校数次第で6校ずつといった偶数になる場合があります。
以下が図になります。↓
この場合は試合数は当然奇数になりますので、斜線で隣り合ったチーム同士の対決のみ(ア・カ・ソ)は最終戦にして、コイントスで先攻後攻を決めるのが望ましいでしょう。よって試合はこうなります↓
- エ・・・D(後攻)vsA(先攻)
- ク・・・E(後攻)vsB(先攻)
- ス・・・C(後攻)vsF(先攻)
- イ・・・A(後攻)vsC(先攻)
- シ・・・B(後攻)vsF(先攻)
- コ・・・D(後攻)vsE(先攻)
- キ・・・A(後攻)vsE(先攻)
- ウ・・・C(後攻)vsB(先攻)
- セ・・・F(後攻)vsD(先攻)
- ケ・・・E(後攻)vsC(先攻)
- サ・・・F(後攻)vsA(先攻)
- オ・・・B(後攻)vsD(先攻)
- ア・・・A(FREE)vsB(FREE)
- カ・・・C(FREE)vsD(FREE)
- ソ・・・E(FREE)vsF(FREE)
といった感じで試合編成するといいでしょう。
あと、リーグ戦を5チームや6チームを編成するにしても、5日間ぶっ通しで行けば必ず終わるはずです。かといって投手一人で投げぬく必要とか全くありません。
先発投手3枚以上作ることでほぼ確実に回せると思います。あとはリリーフ投手を育成する事にも繋がっていくはずです。
そして上位2~3チームが次のステージへ行くといった事にすればいいです。
愛知県で予選をする場合、グループステージは2段階制になります。
1stグループステージA
5チーム×25グループに分ける
上位2チームずつ計50チームが2ndグループステージAへ進出(ここで4試合)
1stグループステージB
6チーム×8グループに分ける
上位3チームずつ計24チームが2ndグループステージBへ進出(ここで5試合)
2ndグループステージA
まずは50チームで順位をつけて、
5チーム×10グループに分ける
上位2チームずつ計20チームが決勝トーナメントへ進出(ここで4+4=8試合)
2ndグループステージB
まずは24チームで順位をつけて、
4チーム×6グループに分ける
上位2チームずつ計12チームが決勝トーナメントへ進出(ここで5+3=8試合)
ここで気づかれたと思いますが、
グループステージで確実に8試合必ず消化したことになります。
すると20+12=32チームが決勝トーナメントへ進出しますので、ここまでの成績を8試合分の合算で順位をつけて、このようなトーナメントになるように設定します。
↓
あとは5連勝でノックアウトステージを戦い抜いたチームが全国大会出場決定ということにすればいいのです。よって、
(4+4)=(5+3)=8試合
8+5=13試合
なので、
グループステージの試合数+
決勝トーナメントの試合数=
13試合
必ず47都道府県で出来るよう組み合わせるといったことが必要です。
ここまで愛知県で戦い抜くためのルール設定についてお話ししました。
あと残り48チームをどうルール設定するかは後日お話しします。