丁度この日から12年の歳月が経ちました。ここからはNHKからの記事で要約します。

 

福島原発事故後、放射性物質の検査結果が基準値を下回っているにも関わらず、農産物や水産物が売れない状況が今現在も続いていて、こういった風評被害が払拭しきれず、関係者一同、現在も悩ませ続けています。一言で「風評」と声をそろえても実態がなかなかわからない所があります。そこでビッグデータを活用して「可視化」してみると、食品によって浮かび上がってきた事実があります。

まず、福島県内最大の港である小名浜港は全国有数のカツオの水揚げを誇っていたのですが、原発事故後は水揚げ量が激減して戻る兆しがありません。「福島産」と表記すると誰も買わなくなるため、それを避けようとなると、どうしても近隣の宮城県や千葉県の港に水揚げする動きが広がってしまいます。カツオを扱う会社の役員である野崎太さんはこう語っています。


「ネガティブなイメージがいまだにどうしても払拭し切れていませんし、他港より価格を安くつけざるをえない状況が続いていました。ちょうど中間地点にある小名浜港を飛ばして石巻港や銚子港に魚が行ってしまう現状は悲しいものがあります。」

風評の正体は何か、それは時の経過とともに変わっているのではないかという問題意識をもとに、ネット上のビッグデータから迫ることになりました。

まず、「福島の農水産物」が「放射能」や「放射線」などという言葉とともに発信されたこの12年間のツイッター投稿の分析結果を視てみると、2011年には90,000件あった書き込みが、2015年まで平均するとおよそ15,000件ずつ減少していっていることが分かってきました。2016年になると大体15,000件と2011年当時の6分の1程度であり、それ以降は毎年10,000件未満をずっと推移していました。2022年でも4000件以上の投稿があっています。

次に、「福島の農水産物」が、ツイッターでどのような言葉と一緒に投稿されていたかを分析してみました。すると2011年当時は、

 

「原発」「放射」「汚染」

 

などといった放射性物質による汚染を直接的にイメージさせる言葉が圧倒的に多いことがわかってきました。こうした傾向はしばらく続き、

「福島の食べ物すべてが心配」

「福島産を食べることで復興支援はできない」

といったネガティブツイートもあったぐらいでした。
ところが原発事故発生から4年経った2015年頃、大きく変化します。


「羽山」「ふじ」「甘い」

 

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といったリンゴの産地や、ブランド名とともに「甘い」といった好意的な言葉が目立つようになり、「美味しい」「ふるさと納税」といったポジティブな文脈で使われる言葉の発信が増えていったことが分かりました。

 

続いては人々の関心を可視化するため、大手検索サイトのネット検索のビッグデータを使って「福島」と関連付けて検索された「桃」「米」「魚」の3つの言葉を分析しました。

①桃
前出のツイッターの発信分析と似た、時間の経過とともに、ネガティブだった言葉がポジティブな言葉に代わる傾向が見られました。勿論原発事故直後は「放射能」が上にありましたが、徐々に赤い「懸念を示す言葉」が減っていき、

 

「直売所」「通販」

 

といった青い「購買につながる言葉」が上位を占めるようになりました。そして2021年に開催された東京オリンピックで、「福島の桃はデリシャスだった」と海外の競技関係者が絶賛したことも報じられて話題になり、

 

「パフェ」「ジュース」

 

といった言葉も目立つようになりました。これに関しては風評の払拭が着実に進んでいるように感じます。

②米
「桃」とは少し違っていて、風評完全払拭とは言えないものの、新オリジナルブランド米の効果が期待できそうです。懸念を示す赤い「放射能」「セシウム」「検査」といった言葉は時間が経つにつれ順位が下がる傾向にあるが、「放射能」は2022年になっても2番目に多い状況です。


一方、黄色で示した「ブランドや品種に関する言葉」が年を追うごとに多くなっていて、新しい福島県オリジナルブランド米などの取り組みの効果が出て、購買につながる認知度が高まっているのではないかとみられています。
 

 

 

③魚
「放射能」という言葉は近年むしろ増えていて「奇形」、「汚染」も見られています。

「放射能」という言葉が増えた時期は原発にたまり続ける水の問題がクローズアップされた時期とも重なっていたこともあり、こうした状況を改善するためにヒントになるかもしれないデータが、今回の分析で浮かび上がってきました。


「懸念する言葉」を検索していた人の属性別・年代別の傾向をみると、既婚者で家庭を持っている人、そして子がいる人、10代・20代より30代以上の人が多いということもわかってきました。これは大切な人のために安全・安心を求める心理が背景にあるとみてとれます。処理水の海への放出が迫り、関係者の間で新たな風評被害が懸念されている中で、不安や懸念を抱えている人たちにどれだけ効果的に安全性を訴求できるかが今後の風評対策の鍵になりそうです。

2023年2月、福島県が開催した県外のバイヤー向けのツアーには、首都圏や関西圏から食品業界の関係者が参加して魚市場を見学しました。ここでは全ての魚種を対象に、漁協が行っている放射性物質の検査や、安全性を確実に担保するために国の基準よりも厳しい自主基準でチェックをしていました。
仲買人団体代表の小野利仁さんはこう語っています。

 

「原発事故後に小名浜港のカツオの流通ルートが変わってしまい、漁獲量が戻らないのは風評被害の典型例だと感じています。

震災直後のあの汚染水が漏れたという印象で、データのアップデートができてない人が多い印象をうけています。だから少しでも水揚げを増やして、少しでもお客さんの目につくよう流通のパイプを少しずつ太くしていかなきゃダメなのかなと思っています。」


安全でおいしい魚を届けようとする地道で真摯な取り組みを正しく理解してもらうことが、福島県産の魚のイメージを変えることに繋がります。こうした思いから風評被害を払拭する取り組みが今もなお続けられているのです。

 

 

 

これはなかなか難しいと思いますが、岸田首相含め政治家全員その魚の刺身を食してアピールしていいでしょう。

また、有名なユーチューバーであるヒカキンさんやフワちゃん、そして東海オンエアの皆さんなど、そういった面々が食べる企画をやってもいいでしょうし、まして今の日本のメディアもグルメ番組をやってるところも多いのですから、芸能人が率先して食べたっていいはずです。それに倣って、報道の仕方も当然アップデートしていないといけないと個人的に思っています。

こんな企画をやるとディレクターのクビが飛ぶと怖がっていては何も前へは進みませんし、それがBPO審議入りしたっていいでしょう。むしろ審議したなりの本当の理由を公表する義務があるはずです。

 

落ちるところまで落ちたのですから、後は平行線より上へ上がっていくしかないのです。

前を向きましょう。