インドのデリー警察が、おそるべき監視機能付きのスパイウェアを押収した。PC使用者の私生活を無断で監視・録画してしまうというものだ。ご紹介するのは、ムンバイ在住の女性会社員ニキータさん(26・仮名)に実際起きた話。あなたも他人事ではないかも知れない。
ある日ニキータさんがいつものように出勤すると、同僚の男性から「あなたが自宅で着替えているシーンや、日常生活のさまざまな場面が映った動画が出回っていますよ」と教えられた。恐れを抱いたニキータさんは、すぐに警察に被害届を提出した。
そして警察の調査で判明したのは、「新種のスパイウェアにより、PCにセットしたWebカメラで24時間フル録画」されていたという事実。さらに、そのスパイウェアは「PCをシャットダウンした状態でも録画し続ける」という凶悪すぎるシロモノだったのだ。
驚くべきはこれだけではない。なんと犯人はニキータさんの彼氏であり、その録画ビデオを裏マーケットに売りさばいていたのだった。
PC業者によると、近年インドの闇ポルノ業界ではこのような方法で撮られた映像がごく普通に流通しているという。しかもこの盗撮スパイウェア、飛ぶように売れているらしい。
「市場に出回ってから5~6カ月が経つこの盗撮スパイウェアにはバグがあり、録画した映像がネットを通じて勝手に配信されるという事件も起きている」 と語るのは、デリー最大のアングラ電脳マーケット『パリカ・バザール』で店を営むサンジェイ氏。
「通常店頭では売らないけど、お望みならば2時間くらいで用意する」と言う売人も……。どこから用意してくるのかは謎だが、値段は500ルピー(約900円)から始まって、交渉すれば200ルピー(約360円)あたりで落ち着くらしい。
デリー警察によると、近年闇の市場に出回っている違法ポルノ作品の多くはこうした盗撮スパイウェアの使用により、被害者も知らないうちに盗撮されていることが多いという。警察ではPCユーザーに注意を呼びかけている。
コンピューターの専門家いわく「たとえ電源を切っても、自動的に再び作動して録画を続けるスパイウェアが何種類も出回っている」とのこと。
なんとも恐ろしいこの盗撮スパイウェア。今の段階ではインドで猛威をふるっているが、そのうち日本にも上陸する可能性は無いとも言えない。ふと視線を感じた時は、Webカメラ経由で誰かに見られている……のかも知れない。