タンゴとわたくし

HIBI Chazz-Kの新しいレパートリーにアストルピアソラのリベルタンゴが加わりました。まだ本番では数回しか演奏しておらず、悪戦苦闘中といったところです。どこが難しいのか自分なりに考えてみるに、自分が慣れ親しんでいるジャズと言葉づかいが違うところだと思い至りました。当たり前の話しかもしれませんが。つまり、いつもやっているようなジャズのフレーズ、歌い方をタンゴで安直に使ってしまうと何か根本的な違和感をわたくしは感じてしまうのです。
例えると「カウントベイシーオーケストラに参加してソロを与えられてマイケルブレッカーのフレーズを『思わず』吹いてしまって場違いな感じになる」みたいな。例えがジャズでスイマセン。
この場合ポイントは「思わず」で、つまり「オレが信念を持ってブレッカーのフレーズをベイシーバンドで吹くんだ!」という確信犯的な演奏ではなくて、その場に適切なフレーズ、歌い方が見つからず、仕方なく慣れ親しんだブレッカーのフレーズを使ってしまって、「あれ?何か違うなー、オカシイなー?」と首を傾げている間抜けなバカヤロウ状態だということが問題なわけです。もう死んでくれ、オレ。みたいな状況。さらにいえば、その場で適切だと感じた自分の歌を吹かずに、借り物のブレッカーのフレーズを使った時点で二重にバカヤロウですけど。もっともわたくしはブレッカーのフレーズは一つも吹けませんが。
別の例えでわかり易くいうと、何かよその国にいって、でもその国の言葉がよくわかんない状態なんだけど、「ま、いいか」と日本語で押し通して「なんかすっきりしねーなー」と感じている状態に近いかも。この「ま、いいか」というとこがバカヤロウですね。また「この国の言葉はわかんないけど日本語でいいたいことはいえたから満足」と思えればいいんですがやっぱりそれもバカヤロウにしか思えなくて。そうじゃなくて日本語なまりでよいからその国の言葉を話せたらよいな、あるいはお互いにわかりあえる共通の言葉がつくれたら最高だな、という感じです。ちっともわかり易い例えじゃなかったですね。
とはいえジャズミュージシャンが演奏するタンゴなのだ。と考えればジャズのフレーズ、歌い方を使うのもアリなのかなあ、と思いますが、でもわたくしはそうはしたくないなあ。と思ったり。まあ好みの問題なんですけどね。いやそれ以前にわたくしはジャズミュージシャンなのか?という疑問も湧いてきます。ジャズは好きだけど、ジャズの周辺をうろついているだけなのかも。
自分はジャズミュージシャンなのか?これって大問題なのですが、結論はどうせでないので「どうでもいいや」としておきます。それよりも大事なのは自分のやるべきことを迷わずハッキリとさせることで、それがあればどんなジャンルの音楽、いや音楽だけではなくてどんな場所、状況におかれても大丈夫なはず。頑張ります。
おお、初めて真面目に音楽の話しを書いてしまった。