ございませんでした | てにを舎の考具 考える日本語®

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日本語を学びなおしてみると、今まで気づかなかったルールや魅力が見えてきます。
少しだけことばに意識を向け、日本語について考えてみませんか。

先日、ある本を購入するために、書店に行きました。
店員に「○○○」っていう本ありますか。
と尋ねると、店員の方が本棚や在庫を調べてくれたのですが、
残念ながら、その本はありません。

そのときの店員の方が言った言葉が
「すみません、○○○はございませんでした」。

わたしには何の不思議もない言葉ですが、外国人の方からすると
ヘンだ」というのです。


私が「ありますか」と聞いたのだから、答えは「あります/ありません」ではないかと。


確かに文法的にはそうなると思いますが、あえて「でした」で答えているところが、日本人が言葉の奥に込めた気持ちの表現なのです。


ありますか→ありませんには、その本の存在しか話題にしていません。
しかし、ありますか→ありませんでしたでは、たずねられたことに対し、満足のいく答えができるように調べてみましたが、その希望にかなうことができませんでした。

というような「申し訳ない」気持ちが含まれています


言葉として合っていても、時には寂しく感じる、使い方は間違っていても、言われると暖かく感じる。やっぱり言葉は生き物なんだと思います。