理想論では平和は守れない。

 時には戦う勇気も必要だ。

 今、それを痛感している。

 会社で、嫌な先輩がいた。

 なにかにつけて苛めてくる。

 僕は大人しい性格なので、よく苛められた。

 コーヒーや水を買いに行かされるなんて、しょっちゅうだ。

 逆らうと、仲間外れにしたり、仕事に関して脅しをかけてきたりする。

 僕は、平和は対話でなんとかなると思っていた。

 だから、ある日思い切って僕の思いを先輩に訴えた。

「笑わせるな、この世は強い者が勝ちなんだよ。おまえのような弱い人間は、黙って俺の言う通りにしてればいいんだ」

 この時、対話が通じない人間がいることを知った。

 対話で平和を保つなんて幻想だ。

 僕がいかに世間知らずの理想論者で、頭の中がお花畑だったことを知った。

 それから先輩の苛めは酷くなった。

 ついに、僕の堪忍袋の緒が切れた。これまで見せたことのない険しい顔付きで、これまでと違った怒気を含んだ声で文句を言った。

 それから、先輩は僕に対しては大人しくなった。

 平和を守るためには、時には戦う勇気が必要だ。