町から、人が消えた。

 周りにいた人々が、掻き消すように消えたのだ。

 車を運転していたドライバーも消え、あちこちで車同士が衝突したり、建物に突っ込んだりした。

 残ったのは、僕だけだ。

 僕はなにがどうなっているのかわけがわからず、パニックに陥った。

 しばらくして気を取り直した僕は、誰かいないか歩き回った。

 ある中華料理屋を覗いたが、誰も見当たらない。

 調理中だったらしく、スープの鍋に火がかかっていたり、炒めている最中だったと思われるチャーハンがフライパンの上で焦げていた。

 火事になるといけないといけないから火を消そうなんて思いを持つ余裕などなく、あまりの不気味な光景に店を飛び出した。

 30分ほど歩き回った。

 建物の中に入ったり、飲食店に入ったりした。

 寝食店の調理場は、どこも最初に見た中華料理屋と同じような光景だった。

 スーパーにも駅にも人がいない。

 いったい、どうなってしまったんだろう。

 これは、夢か?

 夢なら覚めてくれ。

 そう願いながら、人の姿を探してどこまでも歩き続けた。