君は、美人で、スタイルがよく、それでいて強い女性に憧れていないか?
そんな女性は滅多にいないし、いたとしても、普通の男に惚れるわけはない。
そう、確かにその通りだが、しかし世の中には不思議なことはいっぱい存在する。
アメリカ人にしては少し小柄だが、ハリウッド女優も真っ青になるくらいの美貌で、モデル級のスタイル、それでいてバストはある。そして、強い。
いや、強いなんて言葉で形容できないくらい、化け物じみて強い。
日本語、フランス語、中国語、イタリア語、俺が知っているいるだけで、それだけの言葉がまるで母国語でもあるかのように堪能で、科学と化学の知識に優れており、コンピュータにも造詣が深い。
あらゆる武器に精通し、車の運転もプロレーサー以上に巧で、プロレスラーやヘビー級のボクサーと対戦しても苦もなく倒してしまう。
そういう女性がいる。
その女性は、元CIAのトップシークレットに属する殺し屋だった。
引退した今も、時々古巣の仕事を引き受けて、日頃大人しくしている憂さ晴らしをしているし、それもない場合は、繁華街に半グレや不良外国人を狩りに出かける。
そんな女性に惚れられと、いつも命の危険と隣り合わせだ。
「なに、標準語で熱く語っているの? それに、誰に語っているの?」
「いや、なんでもあらへん」
カレンの問いかけに、悟はとぼけてみせた、
「なあ、君、今連載中のプリティドールを読んだら、君の憧れは吹っ飛ぶぞ」