グルグルグルグル、回る風車(かざぐるま)。

 昔は、縁日でよく売られていたが、最近はあまり見なくなった風車。

 ここは、昔は栄えていたが、今は過疎地になった農村。

 昭和の時代に、取り残された農村。

 主のいない家が、寂しそうに幾つも残っている。

 昭和の全盛期に比べて、令和の今は人口が3割まで減ってしまった。

 全盛期の頃は、鎮守で秋祭りを盛大に行っていた。

 屋台も数多く出ていて、多くの子供たちが、楽しそうに金魚すくいやっスマートボールや射的に興じていた。

 綿飴、たこせんべい、いか焼き、たこ焼き。

 遊び、食べ、遊び、食べ。

 とても賑やかだった。

 そこで売られていた風車。

 みんなが買って、手に持って走る。

 風を受けて、グルグルグル。

 ゲームもない時代、こんな遊びが楽しかった。

 一軒の廃屋の障子に、風車が刺さっていた。

 隙間風を受けて、その風車はグルグル回っている。

 古くなって回る度にきしんだような音は、こう言っているのかもしれない。

 あの時代よ、戻ってこい。