「マンガばかり読んでいては、馬鹿になるぞ」

 親父は、いつも口うるさく言う。

 だったら、漫画家は馬鹿ばかりなのか?

 感動して泣いたマンガがどれほどあったのか、ためになったマンガがどれほどあったのか。

 俺にとっては、学校の授業より、マンガの方が生きていく上で役に立っている。

「いい大学を出て、一流企業に入るために勉強しなさい。あなたの幸せのために言ってるのよ」

 おふくろは、口を開けばそればかりだ。

 そうなのか?

 多くの政治家はいい大学を出ているはずなのに、俺には馬鹿に見える。

 恥を知らず、人を騙してでもいい生活をするのが幸せなのか。

 親が言う幸せとは、いったいなんだろう。

 幸せとは、本人が感じるもので、親が感じるものではない。

 自分達の価値観を押し付けないでくれ。

 幼い頃から、そう思っていた。

 だが、言えば、怒るか悲しむだろうと思って、ずっと黙っていた。

 黙ってはいたが、親の言いなりにはならなかった。

 言葉にはしなっかたが、親に反攻している。

 今の俺の職業は、漫画家だ。