私が、初めてキャバクラへ行ったのは、もう十年近く前になる。

 遅咲きで、五十の半ばになってからだ。

 それまでは、そういう店にはまったく興味がなかった。

 私が経営する会社の顧問税理士が、結婚する前に思い残しをしたくないというので、税理士の希望通りキャバクラへへ連れて行った。

 まったく、どういう税理士なんだか。

 そして、そのキャバクラで初めて席に着いた子と、今も付き合っている。

 といっても、男女の仲ではない。

 よき友人としてだ。

 その子は、暫くして新地に勤めだした。

 その頃には仲良くなっており。キャバクラからクラブへ移るのは心細いと言われて、私が初めての客になった。

 しかし、新地のクラブというのは、キャバクラの最低倍はかかる。

 経営者とはいえ一人でやっており、いつも危機的な状況の私にとっては、そうそう行けるものではない。

 月に二度ほどが限度だが、それでも厳しい。

 その子が夜の商売を辞めてから四年が経つが、それほど売上に貢献できなかった私に、今でも頻繁に連絡をくれ、月に何度かはランチの行っている。

 最初に席に着いたとき、まさかこんな関係になるとは思わなかった。

 まったく、縁とは不思議なものだ。