距離として十歩ほど。

 お互い、はずしっこない距離だ。

 先に撃った方が勝つ。

 西部一の早撃ちを懸けた戦い。

 意地と意地のぶつかり合いだ。

 お互い、捜し求めていた。

 そして、やっと出会えた。

 決闘の噂を聞いて、この町の住人どころか、近くの町の住人も押し寄せている。

 二人が、腰から少し手を放し睨み合っている。

 緊迫の時が流れる。

 勝負を眺める人々は、固唾を飲んで見守っている。

 二人の指が、ピクピクと震えている。

 対峙して、もう一時間が経つ。

 夏の陽が、中天に昇っている。

 二人の体力は限界に近い。

 二人の額から、汗がしたたり落ちている。

 同時に、銃に手をかけた。

 二発の銃声が木霊する。

 銃声が一発に聴こえた。

 銃声がやんだ時、二人が同時に倒れた。