「なんか、俺たちより酷いよな」

「ああ、俺たちは嚇かすだけで、実際に危害を加えたりしないからな」

「あいつらは、同族同士で殺し合ってるんだぜ」

「まったく、なにを考えてるんだか」

「欲だろ。金や権力なんてものに憑りつかれているのさ」

「そうだな」

「しかし、昔はよかったな」

「ああ、よかった」

「電灯なんてものが発明されてから、俺たちの出番はなくなっちまった」

「それに、山を切り崩したりして、どんどん自然も壊してるしな」

「おかげで、俺たちの住む場所がなくなっていくな」

「でも、どうしようもないさ。今、俺たちが出ていってみろ。捕まって見せ物にされるのがオチだぜ」

「そうだな、人間はへたに科学力なんてものを身に付けちまったからな」

「いずれ、それで身を滅ぼすさ」

「そうだろうが、その時は俺たちまで巻き添えになるんじゃないかな」

「たぶんな」

「まったく、困った生き物だ、人間って奴は」

「それが、人間さ」

 沈みゆく夕陽を眺めながら、から傘小僧と一つ目小僧はため息をついた。