科学は、加速度的に進歩している。

 昔、テレビといった娯楽機器があったそうだ。

 ドラマや歌やバラエティ、それにニュースなんかが流れていたらしい。

 今は、そんな職業の人間はいない。

 すべてが、AIで自分の好きに作れる。

 小説も、簡単に自分好みの作品ができるようになっている。

 世界でたったひとつ、自分のためだけのコンテンツ。

 俳優も歌手もお笑いも、すべて自分好みに創造し、ストーリーや楽曲なんかも自分好みに、いとも簡単に作成できる。

 ニュースは、世界中で起こっている事が瞬時に流れてくるので、自分の興味のある内容だけを観ればいい。

 地球の周りを飛んでいる大量の衛星、いたるところに設置してあるカメラ。

 それらが、リアルタイムで映像を運んでくれる。

 僕のお爺ちゃんの時代はまだテレビがあったらしく、その頃を懐かしんでいるが、他人が作ったものを観ても面白いんだろうかと思う。

 まあ、お爺ちゃん世代の人には需要があるらしく、その頃の番組もサブスクで観れるようにはなっている。

 僕も、一度観たことはあるが、ただの押し付けにしか思えなかった。

 映画やドラマにしたって、自分の好きな俳優ばかりが出ているわけではない。

 すべてが自分好みにできるのに、なんでそんな昔を懐かしむんだろう。