「キャバ譲のくせに」

 聴き飽きた言葉だが、慣れることはない。

 そういうことを言う人が、どうしてキャバクラに来るのだろう。

 また、そういう人の多くはしつこく身体を触ってきたり、ホテルに誘ったりする。

 断ると、決まり文句のようにそう言う。

 そういったくだらない客は適当にあしらうが、それでも忸怩たるものがある。

 キャバクラなんて店に勤めていると、男性不審に陥る。

 どれだけお金を持っていようが、どれだけ恰好をつけていようが、一皮剝けば雄の本能を剥き出しにしたケダモノだ。

 それでも、まっとうな客はいる。

 キャバクラに勤めていても、普通の女の子扱いをしてくれたり、下心なく優しく接してくれたりする男はいる。

 そういった客がいるから、なんとかやっていける。

 ネットでは、「金を使わずキャバ嬢を陥す方法」とか、「一回行っただけでホテルに行ける方法」とかのサイトが多くある。

 現実はそんな美味い話はなく、キャバクラという世界を知らず、欲望を抑えきれない男をカモにして、高い教材、それも愚にもつかぬ内容の教材を買わすためだ。

 それを信じて店に来る客もいるが、うまくいくわけがない。

 男という生き物は、下半身の欲望を抑えられないものなのだろうか。

 私は、男に生まれないでよかったと思う。