財布を落としてしまった。

 財布は、いつもカバンのポケットに入れている。

 ある店で買い物をした。

 そして、別の店で買い物をして、お金を払おうと思ったとき、ポケットのファスナーが閉まっていないことに気付いた。

 手を突っ込むと財布がない、カバンの隅々まで調べたがない。

 むちゃくちゃ慌てた。財布には、各種のキャッシュカードや免許証、それに健康保険証などが入っている。

 直ぐに警察署に行き遺失物届を提出し、銀行に行ってカードを止めた。

 クレジットを止め、健康保険証の再発行の手続きをし、早めに帰って警察署で運転免許証再発行手続きをしなければと、意気消沈して会社に帰った。

 帰ると、留守電が入っていた。とある会社からで、落とし物を預かっているから連絡をしてほしいとの伝言だった。

 電話をすると、財布を預かっているという。

 その会社のビルの隣に、社用車のバンが停めてある。

 その横に財布が落ちていて、通りかかった人が、おたくの社員のものではないかと、その会社に届けてくれたみたいだ。

 落とした場所も、拾ってくれた人も、連絡くれた会社も、運に恵まれた。

 無傷で返ってきたことに感謝している。

 まだまだ、日本は捨てたものではないと思った。