カレンが扉の陰からマグナムを構え、トラックのエンジンを狙い撃った。

 その弾が正確にエンジンを貫き、トラックは轟音を発して前半分が砕け散る。

 すかさず、もう一台に向けてターニャが手榴弾を抛った。

 ターニャも正確だった。

 手榴弾は、運転席の窓に当たると同時に炸裂し、フロントガラスのかけらと一緒に、千切れた運転者の体が飛び散った。

 舵を失ったトラックが、カレンに破壊されたトラックとぶつかった。

 残る一台のトラックが猛然と走ってきたが、桜井の投げた手榴弾が車体の下に転がり、轟音とともに車体が宙に浮いた。

「マグナムなんか、必要ないって言うとったやんか」

 柱の陰から、悟が大声をあげた。

「これは戦争よ。武器っていうのはね、TPOによって使い分けるものなの。日本語だと、「時と場合」というやつね」

 カレンも大きな声で返す。

「あなた達、余裕があるわね」

 言いながら、ターニャはサブマシンガンを三点バーストで操りながら、正確に敵を倒している。

 この状況で、こいつらは一体、どんな神経をしてやがるんだ。

 桜井は呆れるのを通り越して、そら恐ろしく思った。

 その桜井も、落ち着いて、確実に敵を撃ち倒している。

 ただ一人、緒方だけが焦って弾をばら撒いていた。

 引鉄を絞りっぱなしなので、銃の弾は直ぐに尽きた。

 弾倉を変えようとする緒方を「邪魔よ」とどかして、近づいてくる敵に目にも留まらぬ素早さで、ターニャがショットガンを連射する。

 既に、敵の半数以上が倒されている。

 敵も慎重になった。

 壊れたトラックの陰から、散発的に銃弾を浴びせかけるだけで、決して近寄ってこようとはしない。

 戦いは膠着するかのように見えた。が、そのとき、敵の一人がRPG7を構えた。

「散って」

 カレンが叫ぶ