久し振りに、同窓会に出席した。

 仕事が忙しくて、なかなか出る暇がなかったのだ。

 最後にみんなと会ってから、30年以上は経っている。

 今、私は会社を起ち上げ、なんとか細々とやっている。

 同窓生のほとんどはサラリーマンだ。

 会社によって違うが、もうすぐ定年を迎える歳だ。

 みんなの関心事は、年金や老後のことばかりで、私は話についていけないでいた。

 私には、先のことを心配する余裕がない。

 会社を存続させるだけで精一杯だ。

 そして、物価高についても話が盛り上がり、みんな嘆いている。

 それにも、同調することはできなかった。

 私のクライアントで、資材やエネルギー費の高騰の煽りを受けて倒産した会社が幾つかあり、その多くは価格転嫁ができなかったためだ。

 節約ばかり考えないで、必要なものにお金を出していれば、倒産する会社も減り、中小企業の社員の給料も上げることができるのにという思いを抱いていたからだ。

 住む世界が違う、つくづくそれを感じた。

 話を聴いていると、ほとんどがそれなりの貯えがあり、それでも心配している。

 私は、貯えどころか、借入金しかない。

 それでも、毎日充実している。

 いったい、どちらが幸せなのだろう。