ガタン、ゴトン。

 水車は回る。

 ガタン、ゴトン。

 水の力を借りて回る。

 ガタン、ゴトン。

 いつから回っているんだろう。

 ガタン、ゴトン。

 この水車は、なんのために作られたんだろう。

 今では知る者もいない。

 ガタン、ゴトン。

 それでも水車は回っている。

 田舎の農村の一軒家。

 その家に住む者は、もういない。

 この村も、過疎化が進んでいる。

 他にも幾つか水車があったが、みんな取り壊されてしまった。

 やがては、この水車も取り壊されるだろう。

 そうでなければ、家と共に朽ちてゆくか。

 これまで役に立ってきた水車も、時代の流れには勝てない。

 ガタン、ゴトン。

 自分の運命も知らず、水車は回る。