ついに、石油が枯渇した。

 が、世界の民衆はそれを知らない。

 知っているのは、各国の首脳陣だけだ。

 公にすると大パニックになるので、どこも極秘扱いにしている。

 そのくせ、軍事に使う分だけはどの国も備蓄している。

 ある日、世界各国で石油の供給が止まった。

 電気も水力発電と風力発電と原発だけなので、日本でも時間制限が設けられ、17時になると、一斉に明かりが消えた。

 困ったのは、オール電化の家に住む人達だ。

 電気が使えなければ、ご飯も食べられない。

 飛行機も車もつかえなくなり、船も航行できなくなった。

 今、空を飛んでいるのは戦闘航空機だけで、海に浮かんでいるのは軍艦だけだ。

 わずか百年前は電気がなくても暮らしていけたのに、今では生活ができないまでになっている。人々は困り果てたが、石油がない以上どうしようもない。

 さりとて、急に百年前の暮らしに戻ろわけにもいかない。

 世界中が混乱した。

 しかし、どの国も、軍事のための石油を民間に回そうとはしなかった。

 そうしたところで、何か月も持つわけはないし、これを機に他所の国が攻めてきたら守ることができないからだ。

 多くの国民が飢えで死んでいく中、いったい何を守るのだろう。