カラスが鳴いている。

 晩秋の里山の夕暮れ。

 柿の木に、熟しきった実がついている。

 なんともいえぬ風情だ。

 都会での生活が嫌になり、去年ここに越してきた。

 田舎の生活はまだまだ不慣れで、苦労することの方が多い。

 それに、都会とは比べようもなく不便だ。

 しかし、ストレスはなくなった。

 ごたごたした人間関係に悪い空気。

 電車は数分置きに発車しているというのに、駆け込みをする余裕のない人々。

 そんな生活にうんざりしていた。

 ここは、時の流れがゆったりしている。

 暗くなると寝て、明るくなると起きる。

 自然のリズムに合わせての生活が、こんなにもいいものだなんて。

 夕陽が沈んで、カラスの鳴き声も聞こえなくなった。

 空を覆い尽くすほどの星々の明かり。

 都会では見られない景色だ。

 満天の星空を見ていると、心が洗われてゆく。

 越してきてよかった。

 星空を見上げながら、充実感に浸っていた。