取り付けられていた爆弾を抱えて、カレンが降りてくる。

 降りるといっても、天上から飛び降りたのだ。

 ビルの三階くらいに相当する高さだが、カレンにとってはなにほどのこともない。

 ふわりと着地する。

「これはやっかいそうね」

 見るなり、ターニャが言う。

「それに、あと五分もないわよ」

 カレンの言い方には、緊張感の欠片もない。

「あなた達は、急いで避難しなさい」

 ターニャが健一たちを促した。

「そうね、避難した方がいいわよ。この爆弾は精巧にできている。これだけの時間じゃ、解除できるかどうかわからない」

 カレンもターニャに同意した。

「難しいんか?」

 そう訊いた健一の表情にも声音にも、まったく緊張感がない。

 涼子や良江や新八も、普段通りの顔で爆弾を見ている。

 だから、カレンとターニャはこの連中には気を許している。

 あんなに情けなかった新八も、ここ数年正月に猫を巡って赤い金貨と戦闘を繰り広げているうちに、別人のように逞しくなった。

 誰も、逃げ出そうとする者はいない。