「あんたは、これで終わりよ」
低い声で言いながら、カレンが首領の首を捩じる。
「カレン、殺してもたら爆弾をどこに仕掛けたのかわからんようになるやないか」
東京駅の爆破は、もう明日の朝に迫っている。
本気で爆破する気なら、既に仕掛けてあるだろう。
「こいつらを締め上げても無駄よ。口は割らないわ」
悟の危惧をカレンは一蹴した。
「私もそう思う」
ターニャも。カレンと同意見のようだ。
「それやったら、爆弾はどうするんや」
「私が頼まれたのはこいつらの殲滅であって、爆破を止めることではないわ」
カレンらしい素っ気ない答えだが、今回に限っては悟もただ黙って肩をすくめているわけにはいかなかった。
同じ日本人が何十人、いや何百人、仕掛けられた場所によっては何千人という被害者が出るかもしれないのだ。
それを見逃すなんて、悟にはできない。
その頃、政府は身代金を払うか否かで紛糾していた。
払ってしまえば、国家の威信もそうだが、今後もいろんな国や組織に付け込まれかねない。だが、払わなければ、大勢の罪もない人々を殺してしまうことになる。
こういう時に、腹を切る覚悟で決めれる政治家はなかなかいない