鬼は外、福は内。

 節分の風物詩だ。

 しかし、そんなことをしなくても、外には鬼がたくさんいる。

 それ以上、鬼を増やすこともないだろうに。

 社会人でなくとも、みんな外で戦っている。

 学生は学生で、クラスメイトや先生や校則と、いろいろ戦っているだろう。

 保育園でも幼稚園でも、人が集まるところには戦いがある。

 意識せずとも、必ずある。

 人間関係で悩まない人なんて皆無に等しいだろうし、自分の思い通りにできることなんてのも少ない。

 そう、世間は鬼で溢れている。

 こういってしまえば身も蓋もないが、家から鬼を追い出したとて、それが安穏な生活に繋がるわけではない。

 どこへ行っても、鬼は襲い掛かってくる。

 戦いなくして、自らの平和は得られないのだ。

 それがわかっていても、節分になると豆まきをやってしまう。

 鬼は外、福は内と言いながら。

 もしかして、鬼は自分の中にいるのかもしれない。

 自分の内から鬼を追い出し、福、つまり人として成長し幸せになる。

 それが本当の意味かもしれない。