グレネードランチャーの威力は凄まじい。
扉に銃撃を浴びせていた者、扉が開いたら突入しようと待ち構えていた者を、壁ごと吹っ飛ばした。
砕かれて空いた壁から、ターニャと桜井がありったけの銃弾を浴びせる。
三十人はいたであろう武装した敵を、三人は倒した。
また新手の敵が現れないように、カレンは残りの弾を、すべてのエレベータに撃ち込んだ。
エレベーターの扉が、粉々に吹き飛ぶ。
「派手にやってくれるわね」
さすがのターニャも、少し呆れている。
「まったくだ」
桜井も、少々呆れ気味だ。
「サトル」
カレンには、二人の声は耳に入っていない。
悟のことが気掛かりで、階段へと走りだす。
「激しくやってるな」
カレンがグレネードランチャーを撃ち込んだ頃、悟が楽し気に笑った。
それは、カレン達の勝利を疑っていない笑いだ。
だが、趙は、カレン達が蜂の巣にされるであろうと思っている。
なにせ、カレン達を襲撃しているのは、趙が選りすぐった戦闘員なのだ。
趙は、自分が強い分、どこか人を見下しているところがある。
ここが、悟との違いだ。
悟は、いつも冷静に自分と相手のことを見ている。
自分の力は信じているが、それでも自惚れることはしない。
「あいつらと同じく、おまえも直ぐにあの世に送ってやろう」
カレン達を倒した戦闘員が、おっつけここへやってくるであろうと思った趙は、この男だけは自分で倒したいとの思いから、先に手を出した。