ここまで、よくやった。

 三百人で、十倍の敵を三か月も釘付けにしたのだ。

 いくら待っても、援軍はこない。

 当然だ。

 我々が戦っている間に、本城は落とされてしまった。

 敵の兵力が違い過ぎた。

 我々を取り囲んでいる敵は、ほんの一部なのだ。

 降伏する気はない。

 今降伏したところで、敵は我々を許してはくれないだろう。

 なにより、信義にもとる。

 兵糧は、もう尽きようとしている。

 体力のあるうちに、華々しく打って出ることに決めた。

 悔いはない。

 後は、死に花を咲かせるだけだ。

 本城を落とした敵の兵士が、続々とこの城に集まってきた。

 たったこの程度の小城を落とすのに、大袈裟なことだ。

 これで、お膳立ては整った。

 一直線に包囲した敵を突破し、後陣にいる敵の大将目掛けて突っ込んっでやる。

 そして、敵の大将に一泡吹かせてやる。

 いい死に花を咲かせられそうだ。