どれほどのことが、俺に出来るかわからない。

 しかし、そんなことを考えても無意味だ。

 なんでも、やってみなくてはわからない。

 人間ってやつは、意外な力を秘めているものだ。

 その力を発揮できるかどうかは、やる気に関わっている。

 やる気も出さずに、困難を乗り越えられるはずがない。

 だから、多くの人は無難な道を選んで挑戦しない。

 平時ならば、それでいい。

 だが、今は有事なのだ。

 望むと望まざるとに関わらず、戦争が起こってしまった。

 気が乗らないとか、やる気が出ないとか、怖いとか言っている場合ではない。

 どこへ逃げたって、核からは逃れられない。

 生き延びる道はただひとつ、この戦争を止めることだ。

 それには、戦争を起こした張本人の数か国のトップを同時に暗殺する必要がある。

 俺は、全世界レジスタンス同盟の一員に自ら志願した。

 俺の命はどうなったっていいが、家族は守りたい。

 くだらない見栄や欲のために戦争を始めた奴らを消す。

 そのためには、躊躇はしない。

 ガードは固いが、俺は某国の高官だ。

 俺の命と引き換えに、この戦争を止めてやる。