右腕を上げ、振り下ろした。

 それを合図として、騎下の者が一斉に駆け出した。

 3千対5千。

 数の上では、かなり不利だ。

俺は、先頭に立って駆けた。

敵が、すぐ近くまで近づいている。

敵の、一人一人の顔が、よく見える。

お互いがぶつかる。

その瞬間、俺は数人の敵を斬り落とした。

 騎下も、後に続いている。

 豆腐を立ち割るように、敵の陣形を駆け抜けた。

 そして、反転。

 周りの敵を冷静に見ながら、剣を上げ、下す。

 雄たけびを上げながら、敵を斬ってゆく。

 身体は、敵の返り血で真っ赤に染まっている。

 何度敵の中を駆け抜けたか、何度剣を振るったか、何人の敵を斬ったのか。

 気づくと、立っているのは味方だけになっていた。

 大地に横たわる、敵の兵。

 勝った。

 しかし、勝利感はなく、虚しさが俺の胸を占めていた。