まだまだ、道は険しい。

 だが、俺は諦めるわけにはいかない。

 あいつの一言が、俺の闘志に火を点けた。

 このままでは終われない。

 絶対に成功者になって、あいつを見返してやる。

 それだけが、今の俺の原動力だ。

 あいつは、触れてはいけないものに触れてしまった。

 いや、俺はあいつに感謝するべきか。

 あいつが、俺の眠っていたものを呼び起こしてくれたのだから。

 それまでは、いろいろあって人生を投げ出していた。

 とりあえず無難に生きてりゃいいと割り切っていた。

 よほどでなければ、野垂れ死になんかしはしない。

 そう、現状に甘んじていたのだ。

「おまえ、くだらない奴だな」

 あいつの一言が、俺を変えた。

 凄いなと思っている人間にそんなことを言われたとて、なんとも思わなかっただろう。むしろ、肯定していたかもしれない。

しかし、俺が見下していた奴に言われたのだ。

 これで火が点かなきゃ、生きている価値はない。

 見てろよ、一年後には見返してやるからな。