ふわふわ、ふわふわ、どこへ行く。

 それは、風に訊いてくれ。

 おいらは、風に乗って流れてゆくだけさ。

 あんたらには気ままに見えるだろうが、これでおいら達も辛いんだぜ。

 なにしろ、自分で進路を決められないんだからな。

 それに、風によっては、身体が引き裂かれたりするしな。

 そうは言うけど、雲よ、あんたは不思議な存在だ。

 時には雨を降らせ、時には嵐を呼び、時には雪を降らせる。

 そうだな、まあ、おいら達にもいろんな種族がいるのさ。

 といっても、おいら達には自由がない。

 みんな天が決めることさ。

 おいら達だって、嵐を呼びたいわけじゃない。

 だがね、天が決めたことには逆らえないのさ。

 わかってくれとは言わないが、自然ってそんなもんさ。

 それにな、おいら達に自由にさせてみろ。

 それこそ、なにがあるかわからないぞ。

 嵐を呼ぶのが好きな奴ばっかりだったら、人間は困るだろ。

 雪を降らせるのが好きな奴ばっかりだったら、農作物は育たないだろ。

 雨を降らせるのが好きな奴ばっかりだったら、全世界は水没してしまうだろ。

 だから、おいら達は、天に任せているのさ。