雪は、すべてを覆いつくす。

 その下になにがあろうと、白い色で隠してしまう。

 俺の過去も覆ってくれればいいのに。

 雪が降る度にそう思う。

 だが、雪はやがて解ける。

 いつまでも覆い隠してはおれない。

解けてしまうと、下から真実が現れる。

 そうだ、どれだけ隠そうが、真実は変えられないのだ。

 一度きりの過ち。

 しかし、やってしまったことは消せはしない。

 一生心に抱えて生きていくしかないのだ。

 後悔先に立たずとは、先人たちはよく言ったものだ。

 だが、人間は後悔する生き物だ。

 わかっているのに、やめられない。

 わかっているのに、同じ過ちを何度も犯してしまう。

 それは、俺だけか?

 まあ、そんなことはどうでもいい。

 少なくとも、雪が積もっている間は、俺の過去もなかったように思えるのだ。

 その時だけが、俺に安静をもたらしてくれる。

 だから、同じ過ちを何度も繰り返すのだろう。