IPランドスケープについて、過去にこのブログ(カテゴリ:IPランドスケープ)などを通じて私見を述べてきました。
昨年秋の特許情報フェアで配布されたレキシスネクシスのIP Journal 2018/2019に掲載されていたヤマハ株式会社 技術本部 知的財産部長 小杉 直弘氏のインタビュー記事がIP Forceに掲載されました。
この小杉氏のインタビューの最後の方にIPランドスケープについて言及されている部分があるのですが、非常に共感が持てる内容ですので、ぜひ以下読んでいただければと思います。
知財業界では“三位一体” “IPランドスケープ”ということがよく言われていますが、それらを知財部が自己中心的に推進しようとしても上手くいかないような気がしてなりません。私は、各部門への支援、貢献を考える上では“寄り添う”というキーワードを大事にしています。
今、“サポートプロジェクト”という取り組みを始めていまして、開発部門に「どういう知財情報を提供したら嬉しいですか?」「何かできることはありますか?」とコミュニケーションをとるところから始めています。
開発部門は、自分の開発テーマに集中するあまり、時に外部環境に目が向きにくくなることがあると思います。一方、知財部は、社内の他の開発や競合他社の動向を俯瞰的に見ることができる立場にあり、会社や開発が目指すべき方向を示せるのではないかと思っています。そのために、知財以外のデータや情報も含めて収集・分析し、知財視点からの情報として提供することで貢献できると思います。そういった活動を日々実行することにより、社内の信頼を勝ち得て、その先に経営への提言や、M&Aなどの提案ができるようになれると信じています。
まずは手始めに身近なところからコツコツとやっていこうということで、他部門から感謝される仕事を増やしていきたいと思っています。冗談半分ですが、「ありがとう」の数を評価指標にしようかと言っているぐらいです。
昨年のアジア特許情報研究会10周年記念講演会をはじめ、最近はクライアント先での研修や打ち合わせ等で「IPランドスケープとは何か?」、「IPランドスケープを実施するためには何が必要か?」とご質問いただくことが多いのですが、大前提として知財情報を含めた分析重視・データ重視の風土づくりがあった上で、次に知財部門と他の部門とのコミュニケーションを活性化することが重要だと考えています。
ヤマハの小杉氏は、
- “寄り添う”
- コミュニケーションをとる
- 社内の信頼を勝ち得て
- 他部門から感謝される
- 「ありがとう」の数を評価指標にしようか