専門書を執筆して印税生活できるか? | e-Patent Blog | 知財情報コンサルタント・野崎篤志のブログ

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私はこれまで以下のような書籍を執筆・出版する機会に恵まれまして、「印税ってどれくらいもらえるものなんですか?」という質問や、「いいですね~、夢の印税生活ですね~」というコメントをいただくことがあります。

 

 

 

「特許情報調査と検索テクニック入門」(青本)や「特許情報分析とパテントマップ作成入門」(赤本)は知財分野における専門書です。

 

2018年年に「調べるチカラ」という一般ビジネススキルに関する書籍も執筆・出版させていただきましたが、今回は青本・赤本のような専門書籍を書くとどれくらい印税をもらえるものなのか説明したいと思います。

 

 

出版社によって多少の違いはあると思いますが、

 

印税 = 売価の10%/冊 × 発行部数

 

で計算されます。

 

たとえば「特許情報調査と検索テクニック入門」ですと、売価3,000円(税込み3,240円)なので、1冊当たりの印税は300円。そして第1刷でたしか1,000部だったので、印税は

 

300円/冊 × 1,000冊 = 300,000円

 

30万円となります。

 

そもそも専門書はあまり購入する人がいませんので、第2刷、第3刷と増刷することはレアケースです(幸い、青本・赤本は増刷させていただきました)。

 

1冊の専門書を書くとなると、相当時間もかかりますので、投入した労力を鑑みると、「夢の印税生活」というのにはほど遠いことが分かるかと思います。

 

専門書を書く方で印税生活を目指している方はほとんどいないと思います。

 

むしろ専門書を書くことで、その業界の方に読んでいただき、名前を知っていただくプロモーションツールとして(大学の先生等であれば自分の授業のテキストとして)執筆される方が多いのではないでしょうか。

 

ちなみに上述した日本経済新聞出版社から出版させていただいた「調べるチカラ」は売価1,500円で第1刷が5,000冊。一般ビジネス書籍になりますと、発行部数が専門書よりも多いですので(また日本経済新聞社出版社のような大手ですと、第1刷で1,000冊という少ない単位ではないようで)、いただける印税も多くなります。とはいえ、増刷を重ねたロングセラーにならないと、専門書同様「夢の印税生活」はほど遠いのが現実です・・・