知財業界のライバル-弁理士の日記念企画- | e-Patent Blog | 知財情報コンサルタント・野崎篤志のブログ

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本日7月1日は弁理士の日

 

私は弁理士ではないのですが、ドクガクさんからお誘いをいただき昨年から弁理士の日記念企画の特定テーマでのブログ記事投稿を行っています。

 

今年のテーマは「知財業界のライバル」とのことで、まずテーマについて確認しようと思います。知財業界のライバルのライバルと行ったときに

 

  • 対象:知財業界内でのライバル か 知財業界外のライバル
  • 範囲:業界全体としてのライバル か 企業単位でのライバル か 個人単位でのライバルか

 

の2つの捉え方があるかと思います。ドクガクさんのブログにもあるように、近年は法律事務所が特許出願・権利化業務に参入してきている点について言及されています。これは上記でいえば「知財業界外のライバル(もともと知財業界の業務はやっていなかった)」であって、「業界全体としてのライバル」に該当するものです。また昨今AIが仕事を奪うという論調もありますが(私はそうは思いませんが)、AI脅威論についても法律事務所と同様になるかと思います。

 

私は2002年に前々職に入社して以来、一貫して特許情報を中心とした知財情報の調査・分析に従事してきて、昨年5月の独立以降はとりわけ知財情報分析とコンサルティングに注力していますので、その知財情報分析・コンサルティングという対象について「知財業界外のライバル」、「業界全体としてのライバル/企業単位でのライバル」について私見を述べたいと思います。

 

知的財産アナリストという講座が設立されたのは2011年、そして最近では2017年4月の知財人材スキル標準(Version2.0)で取り上げられたIPランドスケープなど、知財情報分析に対する注目度が高まってきていると感じます。

 

IPランドスケープについては、常日頃ツイッターやFacebook、本ブログを通じて自分の考えを述べています。企業の事業戦略をはじめ各種戦略へ知財情報を積極的に利用していこうという考えには賛同しますが、これまでよく利用されていたパテントマップという活動は古臭いものであるという論調にはまったく与しません。なおIPランドスケープについてまとめた記事としては下記を参照ください。

 

私は理工系大学院を修了して、日本技術貿易株式会社に入社し、IP総研というシンクタンク部門に配属されたのですが、当時からライバルというかベンチマーク先として気にしていたのは外資系コンサルティングファーム(マッキンゼー、ボストンコンサルティンググループ、ATカーニーなど)や国内大手シンクタンク(三菱総合研究所、野村総合研究所など)でした。

 

もちろん知財業界内でも戦略的な取り組みをされている企業や個人の方もいらっしゃるとは思うのですが、特に外資系コンサルティングファームのようにフレームワークなどで体系化する、プレゼンテーションやレポートが洗練されている(見た目だけではなくロジックなども含めて総合的に)点については、勝手にライバルだと認識して、主に書籍やウェブサイトに掲載されているレポート類を参考にベンチマークを行ってきました。

 

知的財産というのは経営・事業を強くするための手段であって、知財の中だけでこもって考えていても解決はしないと思います。そうであれば、経営や事業を行う方々の視点から見て、知財がどのように映っているのか(そもそも視界に入っているのか)、知財をより積極的に活用してもらうためにはどうしたら良いのか(私の場合ですと、特に知財情報をより積極的に利用してもらう)、知財からの視点ではなく、知財以外の視点から眺めることが重要だと考えています。

 

なので、実は外資系コンサルティングファームやシンクタンクはライバルというよりも、学ぶべき先生ということもできるかと思います。

 

ライバルという点においては、外資系コンサルティングファームが本気で知財情報分析やコンサルティングの方に参入してきたらどうなるのかな、というワクワク感と危機感がミックスされたような感覚を持っています。出願・権利化や訴訟・ラインセンス等のリーガルが関連せずに、純粋に知的財産を会社の資産としてとらえ、その資産を最大限に利用するという視点でコンサルティングサービスを始めたらどうなるのかな、と。

 

マネジメント的な知財コンサルティングよりは、現在ではイノベーションマネジメントに関するコンサルティングの方がウケが良いかもしれません。

 

個人的には知財情報をより積極的に利用していただけるのであれば、外資系コンサルティングファームやシンクタンクといったプレイヤーがもっと参入してきてくれると業界も活性化して良いだろうなと思っています。

 

また、今日は前段のところで少しだけ触れましたが、AIというのは知財情報分析やコンサルティングにおいて、仕事を効率化するものであって、より生産的なタスクに時間を割り振ることができるという点では、あまり脅威には感じていませんし、ライバルとも思っています。

 

 

というわけで弁理士の記念企画「知財業界のライバル」でした。