品川にて元社長との邂逅
東京での一夜。
名古屋で取り引きのあった企業の元社長との邂逅。
会社を引退されてからは初めての食事。
現在は東京を拠点にして暮らしていらっしゃる。
店はその人が行きつけにしている品川のレストラン。
座る席まで決まっていているというから相当な常連だ。
急成長した会社を売っていまは悠々自適の生活。
それでも平穏な日ばかりではないと言う。
お金持ちにはお金持ちの悩みがあるらしい。
そんな話はなかなか聞けないのでおもしろかった。
元社長は、逆に小市民の私の悩みに興味をそそられたようだ。
お互い生活様式はまるっきり変わってしまったが、それもよし。
悔いのない人生を送りたいと思う気持ちは変わらない。
人生の終着点をめざすベクトルは同じ方向を向いていると感じた。
新潟の小体な鮨屋
新潟市内に宿をとったとき、ついでに近くにある食事処も予約しておいた。
一人で呑む酒は、小体な店がいい。
この日、私が選んだまちなかの鮨屋は私好みだった。
「極み」というコース名の地魚中心の特選十貫を握ってもらう。
鮨屋に入れば、すぐに握りを注文するのが私の流儀。
好みで選ぶのは面倒なので、コースメニューを選ぶ。
それを無粋と言われようが、気にならない。
「どんな鮨屋に入っても、上寿司一人前を頼んでおけば間違いない」
食通の山口瞳先生だって、そうおっしゃっているからね。
握りの合間に、もずく酢といくらの茶碗蒸しを追加した。
いくらは本当に高くなったと思うが、この料理はお値打ちだった。
しかも、ふんだんに使っている。
海のない私の地元ではこうはいかない。
これだけのことで、私は以前より新潟が好きになった。






