猫の後ろ姿 2294 矢崎博信展 シュルレアリスムの意味 | 「猫の後ろ姿」

猫の後ろ姿 2294 矢崎博信展 シュルレアリスムの意味

 

 

 茅野市美術館で、「矢崎博信 シュルレアリスムがみせる夢」展を観た。

大きな時代の変革期に入ってきて、超現実主義の意味があらためて切実に問われるべきだと思う。

 1930年代、<超現実(シユルレアリテ)>が急速に思想的・芸術的に緊急の課題として現出した。瀧口修造によれば、「超現実(シユルレアリテ)という言葉はもはや観念上のまたは詩学上の、用語ではなく、人間の意識・行為の重大な危機を指し示す信号標」となったのである。


  さらに、瀧口修造は言う(「超現実主義の前衛的意義」、1936年9月)。
 「超現実性を人間の欲望の原理に深く結合し、聞こえない内部の叫びに耳を傾けること、自我の象徴の中に超自然の鍵を発見することが、来るべき文化のもっとも大きな課題となるであろう。」
 
 若き超現実主義者たち、米倉寿仁や瀧口修造、そして矢崎博信らは、<内部の叫びに耳を傾けること>によって詩と絵画に新たな血路を開こうとしていた。
 僕らは僕らのこの時代において血路を開きうるか。研鑽したいと思う。

 

 

矢崎博信 街角(彼の地に水害のあった日) 

1935 茅野市美

 

 

矢崎博信 街角の殺意 1937 宮城県美

 

矢崎博信 赤い衣の女と怪物 1938頃

無言館寄託

 

矢崎博信 農夫働くの図 茅野市美

 

矢崎博信 早春 1943 茅野市美