恋する風俗嬢。
昨日、『恋する客』と題して書いちゃったので、
ついでに、今日は風俗嬢側から・・・。
長年風俗嬢してるけれど、プライベートで親しくした姫は数える程しかいないから、
かなりの偏りがあるのは事実だし、あたし自身がとても偏った人間だから、
多勢論ではない・・・ということを先に言っておきますゎ。
さて、本日のお題『恋する風俗嬢』。
風俗嬢の中には、大きく
① 「こんなところに来る客なんて、嫌!絶対嫌!」派
② 「恋はしないけど、使えるやつならプライベートな付き合いもOK」派
③ 「恋しちゃったらしちゃった時、風俗嬢だって人間なんでね」派
④ 「擬似恋愛と恋愛の区別つかなくなっちゃっうのだゎ」派
などがある。
上から順に減っていくと思われる。
①嫌悪派の姫の話
「○○ちゃんの彼、客だったらしいよ。最低ー。なんで、こんなとこに来るヤツと付き合えんの?
意味わかんない。気持ち悪ー」
②割り切り派の姫の話
「今さ、○○さんと付き合ってんの。
妻子持ちなんだけどさ、他にも3人女がいて、認知してる妻以外の子も2人いるのよ。
このバッグもこのネックレスも指輪も買ってもらったのー。
今度は、歯も全部治してもらっちゃうゎ(彼は歯科医のボンボン)」
③順応派の姫の話
「内緒にしててね(←何故か内緒にしたがる)。実はあたしの彼、元客なの。
シゴトのことも理解してくれるし、でも知ってるから余計燃えちゃう・・・みたいな?」
④病い派の姫の話
「必死こいて擬似恋愛演じてるとさ、混乱しない?錯覚しない?現実解からなくならない?
目の前のおっさんが、恋人だったような気がして来ない?
というか、そう思い込まないとやってられなくない?これって病気?」
あたしはというと、デビューからしばらくは、①だった。
で、反感買うの覚悟で自分に正直に書くと、
心が汚れつつある(躁状態)時は②もあり。
今は③(大事な恋人いるから簡単に落ちたりはしないけど)。
病んで病んで仕方ない(鬱々)時は④をカスメル時もある。
こんな風に、確固としたスタイルがないから、どの姫の言ってることも解かる。
でも、①の姫の彼が店に来て遭遇しちゃったり、
②の姫が本気になってどろどろ沼にはまったり、
③の姫がしんどくなって飛んじゃったり、
④の姫が入院したりするを見てると、
世は無情・・・・と思い知らされれるのだけれど。
いろいろ書いたけれど、
いろんな姫がいるということなのだ(←こんなオチ・・・?)
もし風俗嬢と恋に落ちたい(落としたい)と本気で思っている人がいたら、
あり得ないくらい、でっかい器と、彼女の稼ぎ以上の経済力と、タイミングを掴む・・・という運を高めて、
出陣してみるといい。
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風俗嬢と客との恋を、f-log(フィクション)で書いてるので、
読んでみてくださいな。
こちら
↓
僕と彼女の恋の道。
恋する客。
風俗嬢に恋に落ちてしまう客というのは、案外珍しくない。
あたし自身も客と恋愛関係に陥ったことのある口だから、気持ちはわからんでもない。
わからんでもないんだけれど、風俗嬢が優しくするのは、客がカネを払ってるからであり、
それがオシゴトであるからなんだということを、
恋してしまった客は無視(もしくは知らない振り)しちゃうから、困ったもんだ。
やたらとポジティブシンキングで、あたしの心の中にまでズカズカ侵入してきて心底鬱陶しい。
「会いに来てくれてありがとう」というお愛想が、
「会いたくて仕方なかったの」と聞こえるらしい。
「また会いたいゎ」という言葉も、
「好きなの」くらいには聞こえてるらしい。
「ちょっと疲れちゃって・・・」と愚痴をもらそうものなら、
「彼女には僕しかいないんだ」くらいにポジティブ勘違い。
店に来ていながら、服も脱がず、お触りもせず、
「僕の時は、ちょっとでも体休めて」
なんてことを言い始めたときは重症。
こんな客がストーカー化して、後を付けられアパートメントを知られ、ポストから郵便物を抜き取られ、
実家に押しかけられて親にも恋人にも、隠していた風俗の仕事をバラされ、
とても悲惨な状況になってしまった姫もいた。
そんな面倒なことになる前に、あたしはけりをつける。
ある程度だったら、指名に繋がるから引っ張っておくけれど、危険な域に達する前に切らないと、
たとえ、毎週来てくれようが、サービス無しで体が楽であろうが、
心の負担が重過ぎて、あたしの方が疲れきってしまう。
心を消耗する客で、肉体疲労を回避しているよりは、新しい客をどんどん開拓して、
遊び上手なお客さんばっかりを沢山抱えた方が、ずぅっといい。
けりをつけるとは言っても
「あんたなんか好きでもなんでもないんだよ!」
とか、
「もう来んなよ、この色恋ボケが!!」
とか、そんなことは言わない(し言えない)。
『あたしはカネを貰ってるから・・・・』
『あたしは商品だから・・・・』
ということをやんわりと、でもせつせつと主張するのだ。
(他の客の話をするとか、
いつものピンクや赤色の雰囲気を黄色に変えるような話をするとか、
いつまでもしつこい時はカネの話をしてもいい)
時々、
『じゃ、僕はずっと応援するよ・・』
などという、いつまでも勘違い野郎もいるにはいるけど、
自分は特別でもなんでもないんだと、目を覚まさせたらしめたもの。
シリアスに恋してる気分に陥っている客ほど、もう、来ることも、連絡もない。
楽になったところで、新たな獲物をあたしは追うのだ。
↑
あたしは吸血鬼か。。。
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昨日書いたこの記事で、あたしはちょっとだけ反省しているところがある。
風俗嬢はカネでセックスや恋人ちっくな時間を提供するわけで、
それははっきり言って、擬似恋愛の世界。
例えば決められた2時間は、まるで恋人同士のように、
いや、恋人とだってしないような、甘く濃く深い蜜時を過ごす。
ソープの個室にいるあたしに恋をしている分については、ちっとも問題ないということ。
というか、あたしはそれを売ってるのだから、恋されることは、誇らしいことであって、
迷惑がるようなことではない。
恋されて困るのは、プライベートなオシゴト以外の領域を侵されそうになることなんだということを、
きちんと書くべきだったと思う。
淋しい風俗嬢。
実はあたしはしばらくの間、休業していた。
引退を視野に入れて、他に仕事を始めて、
これが結構忙しかったというのと、
それまで、週4日、決して休むことなく出勤していたのに、
急に出勤を減らしたら、なかなか予約の取れない幻の姫
というなんとも誇らしいレッテルを貼られてしまって、
これがまた、笑っちゃうくらい心地よかったのだ。
『GWに出て欲しい』と頼まれたので、
この数日、気合い入れて出勤してたら、
幻の姫に会いに来る客も3日で尽きたけど・・・。
この世界、そんなもんだ。
遠くの恋人より、近くのなんとか・・・じゃないけど、
会いたい時に会えない姫より、
会いたい時いつでも待っててくれる姫の方が、
いいもんな。
中には出勤しさえすれば、毎日でも来てくれる、
暇で金持ちという不思議なM男くんもいるけれど。
いいの。慰めなんていらないゎ。
新しい客を開拓出来たし、ネタも出来たし、
悲しくなんて・・ないもん!←イジケ
そんなこんなで、久しぶりにノリノリのフルパワーで
オシゴトしちゃったのはいいんだけれど、
体も心もすっかり消耗してしまいましたゎ。
年のせい?それとも、ぬる~い生活してたせい?
疲労困憊で寝付けなくて、
無理にでも寝ようとするんだけれど、
枕越しに自分の血流の音がどきんどきん・・聞こえてきて、
その音が気になって気になって、
結局朝寝たら、起きたの昼過ぎ。。。
ついでに生理もやってきて、鬱々なあたし。
この際だから、ピルも止めようかな。
リング入れてるから、突然の仕事も大丈夫だろう、きっと。
信頼を勝ち取りたい~無我夢中。
携帯の鳴る音がぼんやりと耳に入ってきた。
面白い夢を見ていたような気がするけれど、
どんな夢だったのかすっかり記憶から抜け落ちた。
携帯から響く声に、いきなり現実に引き戻されたからだ。
「どうしました?起きてますか?」
専務だ。
時計を見ると、いつもだったらすでに店に着いて、
客を迎え撃つ準備も整った時間だ。
「い・・・今すぐ向かいます!」
あたしは返事も聞かずに電話を切って、
顔だけを洗い、寝る前に準備しておいた
オシゴト道具を持ってタクシーに乗った。
確かに目覚ましの音は聞こえたはずなのに、
昨夜飲んだ睡眠薬は、いつもより重かった。
酒と抗不安剤を併用したせいかもしれない。
タクシーの中でメイクを施し、
ジャケットを脱いで、持参した濡れタオルで、体中を拭く。
腋下もブラを付けていない胸もスカートの中も。
運転手の視線なんて、この際どうでもいい。
つり銭も受け取らず、タクシーを降りて店に飛び込んだ。
専務は口をへの字に歪めて言った。
「田中様、すでにお待ちですよ」
謝るのもそこそこにあたしは個室に向かい、
服を脱ぎ捨て、股間だけをワッシワシ洗う。
ガーターを付けて編みタイツを履いて、下着を着ける。
必要最低限のタオルをたたんで、ドレスを頭からかぶって、
髪を適当にブロウして、フロントにコールする。
「お願いします」
「では、ご案内いたします」
大きく深呼吸をしたら、
今、はじめて空気が肺に届いた気がした。
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あたしの遅刻は、この一回だけだ。
電話を受けてからの30分間、
あたしの心臓はバクバクと勢いよく血液を押し出していた。
内臓が全部、食道を上がってくる感覚を
無理やりに飲み込んで、
ただひたすら、待っている客のことを考えていた。
絶対に遅刻なんてしない。
当欠なんて以ての外。
店と客からの信頼を、
自ら進んで失うようなバカな真似はしない。
店があってあたしがある。
客がいてあたしがいる。
信頼を築き上げるのは、簡単じゃない。
失うのは簡単。
取り戻すには、築くよりもっと多くの努力と苦悩を必要とする。
あたしは信頼を勝ち得るために、こんなにも無我夢中。
見捨てられないために、大切にされるために、
「明日から来なくていいよ」という言葉を聞かないために、
こんなにも無我夢中なのだ。
格好悪くてもいい。
バカにされてもいい。
哀れまれてもいい。
あたしは必死なのだよ(未来のあたしへ)。
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社会人としては当たり前のことだけれどね。
あたし飛び起きて客を迎えるまでの、
臨場感を書きたかっただけ。
センチな気分(元気でいたい人は素通りしてネ)。
昔の恋人にこんなことを言われたんだ。
「人を傷つけるとね、絶対自分に返って来るんだよ。
巡りめぐって、必ず」
あたしが恋人を深く傷つけた時のことだった。
深く傷つけあう事の出来る相手なんて、そうそういない。
今だって、あたしを深く傷つけることのできるのは恋人だけで、
あたしが深く傷つけることの出来るのは恋人だけ。
もう、両親には出来ないし、友達になんて元々出来ない。
そういうことを、当時の恋人に上手に伝えられたらよかったと思う。
後悔などではなくて、
傷つけたままさよならをしてしまわなくて済んだのに、
そうしたら、あたしに返って来ることのひとつを減らせたのに。
そんな風に思うのだ。
古い写真を見て思い出を美化したり、過去に戻りたいと思ったり、
そんなことはあたしは必要ないと思う。
写真に残したことは、あたしの気持ちにも刻まれているから。
時に思い出してひとりでひっそり笑ったり、
感傷に浸ることを楽しんだり、
それくらいの記憶として。
写真の管理なんて、あたしには出来ない。
過去は過去。
現在ではないのだから。
どうでもいいものを捨てなくてはならないなどと、
どうして考えようか。
過ぎ去ったものは、あたしの中ではその程度でしかない。
それでも、写真を見つけた恋人は深く傷つく。
あたしの(恋人曰く)無神経な落ち度に深く傷つき、
いつまでも繰り返し、そのことを責め続ける。
あたしは恋人の昔の彼女の写真を見つけたとき、
怒りもしなかったし、捨てることもしなかった。
怒りも沸かなかったし、捨てる必要性も感じなかったからだ。
昔の彼女と会った時だって、
彼女に対する嫉妬なんて、ちっとも沸いてこなかった。
深く傷つけ合うことの出来る相手は唯一無二なのに、
どうしてもっともったいぶらないのだろう。
そんなに(あたしにとっては)くだらないことで、
どうして簡単に深い傷をつけ合おうとするのだろう。
おセンチなのは、眠れず朝を迎えたからだ。
きっと。