今月13日、今年のノーベル文学賞の受賞者の発表が行われ、アメリカのシンガーソングライターであるボブ・ディラン氏が選ばれました。
115年に渡る同賞の歴史で、歌手の受賞は初めてのようですね。
米国音楽の伝統に、新たな詩的表現を創造したと評価され、今回の受賞に至ったそうです。
毎年注目されている村上春樹氏は、今年も受賞を逃す結果となりました。
少し慣れてきたのか、村上春樹氏が受賞を逃したことについては、それほど驚きもないのですが、『歌詞』が評価対象となり、受賞に至るというのは驚きでしたね。
その点を疑問視する声も少なくないようで、今回の受賞については賛否両論あるようです。
フランスの小説家、ピエール・アスリーヌ氏は、今回の受賞に対し「ディラン氏の名はここ数年頻繁に取り沙汰されていたが、私たちは冗談だと思っていた。今回の決定は、作家を侮辱するようなものだ。私もディランは好きだが、作品はどこにある?スウェーデン・アカデミーは自分たちに恥をかかせたと思う。」と述べています。
たしかに、作家のためにある賞という印象が強いため、歌詞も対象となってくると、ノーベル文学賞の意味合いが変わってきそうですよね。
一方で、賛成意見も多くあります。
アメリカの作家、ジョイス・キャロル・オーツ氏は「心に残る彼の音楽と歌詞は、常に、最も深い意味で『文学的』に感じられた」と、今回の受賞に祝意を表明しています。
本も歌詞も作者のメッセージ性を込めたものであることは事実であり、それを『文学』と捉えるのであれば、今回の受賞は妥当なものですよね。
代表作の1つである「風に吹かれて」は、世界中誰もが知る名曲であり、黒人に対する人種差別の解消を目指した公民権運動やベトナム戦争を背景に、当時の体制を反対する曲としても知られています。
フォークソングというメッセージ性を込めやすいジャンルな上、社会に大きな影響を与えたことは、『文学』として十分なものだったのでしょうね。
今回の受賞は、今後の「ノーベル文学賞」の定義を変えるものになったのかもしれません。
「文学賞=本」というイメージが強かったですが、メッセージ性が込められている「歌」という分野も、十分に文学と言えるのかもしれませんよね。
本も音楽も、人に感動を与える共通のものとして、これからも大いに発展していってほしいですね。
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